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endo・memory11

[363]  井浦快里  2006-05-08投稿
―遠い記憶の遠い君。近い今の近い僕。 ユリノ・サンスティの広場で、リクはまだ怒りを抑えられずにイライラしていた。思わず足踏みをしてしまう。周りの人々はそんな事おかまいなしに通り過ぎて行く。「〜…まったく、何よあの子は!怖がってるの!?男のくせに!」訂正しておこう。アクセルは女だ!リクは腕組みをし、辺りをいらだった目でキョロキョロと見回した。アクセルが来るのではないかとまだ心底期待しているのだ。だが、アクセルの気配すらも無い。リクは溜め息を着いた。「駄目か…」リクは腕組みを止める。やっぱりアクセルは来ないのだろうか?…諦めよう… ―その頃、アクセルは… 「ここどこだよぉ〜…リクぅ〜…」路地裏で迷子になっていた。リクのいる広場には近いのだが、アクセルは意外と陰が薄い。リクでもよく気配が掴めないのだ。その時、アクセルが路地裏をようやく抜け、リクの姿を発見した。アクセルがパッと明るくなる。「リク!」アクセルの声。リクはバッと声の聞こえた方に向いた。「!来た!」アクセルが走り出した。よかった〜、誤解が解ける… ―ブン… 「え?」 空気が歪む感覚がした。周りの人々の動きが止まる。アクセルが立ち止まり、辺りを見回した。リクも周りを見回し、アクセルの方を見てハッとする。「危ない!!」リクが叫んだ。アクセルの後ろに、人影があるのだ。それは、さっきビルの上からアクセルを見ていた、黒いマントの―…リクがアクセルの方に拳銃を向ける。アクセルはギョッとした。「のわ!」反射的にアクセルが側転をしてその場から逃げる。リクが引金を引いた。 ―ドン!! アクセルの後ろにいた人物に、弾丸が直撃する。白い煙が上った。アクセルが呆然としながらその人影を見る。 ―チャリン… 人物のマントの中からリクの放った弾が落ちる。ダメージを与えられてないらしく、人影はマントから手を出し、微かに指に付いた焦げ目を指で擦った。リクが人影に拳銃を向けたまま険しい顔をする。「機関黒月…!」小柄な体が、マントと共に動く。アクセルが目を見開いた。「機関黒月…?」人影のマントから覗く口が、微かに笑った。

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