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緑の丘 (2)

[406]  レオン  2008-05-10投稿
恵斗(ケイト)と同棲したのは、丁度今頃の季節だった。

まだ肌寒い4月。

上京して、憧れてたアパレル企業に就職したものの、華やかな世界とは一片。

地味で、想像以上にハードな仕事内容に悪戦苦闘していた。
それでも、慣れてしまえば楽な物で、新しいこの場所で友達も彼氏も出来た。

何も不満が無い程に、私の人生は順調そのもので、東京の町並は輝いて見えていたけど、何だか寂しかった。

いくらその時の彼氏が「愛してる」何て囁いたって、私にその"愛"は伝わらなくて、私はまた次の"愛"を求めて彷徨っていた。

あの時は「本当の愛」に餓えていたんだ。

意味の無いおままごとの様な恋愛を幾度と繰り返しては、誰かを傷付けた。

そんな私に、救いの手を差し伸べてくれたのが恵斗だ。

恵斗は、今までのどの男よりも最高にムカつく奴だった。
大抵の男が私のワガママに黙って答えてくれる中、恵斗は私に一喝「ふざけんな」と。

大抵の男が私の外見だけを見てる中、恵斗はちゃんと私の中身を見てくれた。

大抵の男が私の事を「強い女」と言った中、恵斗は私の弱さを知っていた。

寂しい時は、一晩中側にいてくれた。辛い時はそっと肩を抱いてくれた。

そんな恵斗となら「本当の愛」を育めると思った。

「俺んトコ来いよ。」

そう言ってくれた日から、私はもう寂しくはなかった。



あの日から今日で、同じ季節が3回巡った。

あの頃と今とでは状況が変った。やっと見つけた「愛」は今では「情」に変って、お互い何に意識することもなく、馴れ合いの毎日になった。

何か違うと感じつつも、この楽な関係と情が邪魔して、私 達はダラダラと先の見えないゲームを続けていた。

男と女
と言うよりは

家族
の様な存在。

もうお互い飽き飽きしている事は感じていた。
SEXだってもう何ヵ月もしていない。

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