一週間 三章 大林
祐輔は、分かった事があれば必ず報告すと約束して春樹と別れた。
そして翌日、祐輔は大学へと向った。
祐輔は高専を出てすぐにコンピュータープログラムを開発する企業に就職していた。
だから、理系とは異なる分野の歴史考古学に、どこまでついていけるか不安だった。
学生に、大林教授の研究室の場所を聞いて行ってみると、祐輔が描いていたイメージとは違っていた。
歴史考古学というネーミングから、別棟に建られた古ぼけた木造の建物を描いていたが、大学内の、真新しい他の研究室と同じ並びに在った。
コンコン!
「は〜い、開いてますよ〜」
ドアをノックすると、中から男の太い声が聞こえてきた。
「あ…はい、失礼します…」
中に入ると、スチール製の組立て棚にびっしりと、おそらくは貴重で有ろう古い品々が並べてある。
祐輔が棚を避けるように奥に進むと、開けた場所に机が並んでいて、白衣を着た背の高い男が段ボールになにやら詰め込んでいた。
「あの〜…すみません」
声をかけると、男は振り返り祐輔をじっと見つめた。
「ああ、悠子くんの…祐輔さんですね」
男は手を休め祐輔と相対した。
「あの…何故それを?」
男は黙って隣りの机を指差した。祐輔が指先を辿ると、机の上に祐輔の写真が入った写真立てが置かれていた。
「悠子…」
「悠子くんはいつも貴方の自慢をしていましたよ…」
祐輔は写真立てをじっと見つめた。
「申し遅れました。悠子くんと同じ研究員の、牛嶋と言います…この度は…その、なんて言ったらいいか…」
「いえ…」
祐輔は軽く頭を下げた。
「あの…大林教授は何の研究をされているんですか?」
「ん〜…その研究は、悠子くんと教授が二人で進めていた研究だからね〜。詳しい事は知らないんだけど…スターリンについて調べてたみたいですよ」
「スターリン…旧ソ連の指導者だった?」
「指導者というより独裁者だね…レーニンが病死した際、スターリンは権力を握らんがために、四人の実力者を次々と失墜させ、殺したそうです」
そして翌日、祐輔は大学へと向った。
祐輔は高専を出てすぐにコンピュータープログラムを開発する企業に就職していた。
だから、理系とは異なる分野の歴史考古学に、どこまでついていけるか不安だった。
学生に、大林教授の研究室の場所を聞いて行ってみると、祐輔が描いていたイメージとは違っていた。
歴史考古学というネーミングから、別棟に建られた古ぼけた木造の建物を描いていたが、大学内の、真新しい他の研究室と同じ並びに在った。
コンコン!
「は〜い、開いてますよ〜」
ドアをノックすると、中から男の太い声が聞こえてきた。
「あ…はい、失礼します…」
中に入ると、スチール製の組立て棚にびっしりと、おそらくは貴重で有ろう古い品々が並べてある。
祐輔が棚を避けるように奥に進むと、開けた場所に机が並んでいて、白衣を着た背の高い男が段ボールになにやら詰め込んでいた。
「あの〜…すみません」
声をかけると、男は振り返り祐輔をじっと見つめた。
「ああ、悠子くんの…祐輔さんですね」
男は手を休め祐輔と相対した。
「あの…何故それを?」
男は黙って隣りの机を指差した。祐輔が指先を辿ると、机の上に祐輔の写真が入った写真立てが置かれていた。
「悠子…」
「悠子くんはいつも貴方の自慢をしていましたよ…」
祐輔は写真立てをじっと見つめた。
「申し遅れました。悠子くんと同じ研究員の、牛嶋と言います…この度は…その、なんて言ったらいいか…」
「いえ…」
祐輔は軽く頭を下げた。
「あの…大林教授は何の研究をされているんですか?」
「ん〜…その研究は、悠子くんと教授が二人で進めていた研究だからね〜。詳しい事は知らないんだけど…スターリンについて調べてたみたいですよ」
「スターリン…旧ソ連の指導者だった?」
「指導者というより独裁者だね…レーニンが病死した際、スターリンは権力を握らんがために、四人の実力者を次々と失墜させ、殺したそうです」
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