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一週間 三章 大林

[359]  伊守弐ノラ  2008-05-10投稿
祐輔は、分かった事があれば必ず報告すと約束して春樹と別れた。

そして翌日、祐輔は大学へと向った。

祐輔は高専を出てすぐにコンピュータープログラムを開発する企業に就職していた。

だから、理系とは異なる分野の歴史考古学に、どこまでついていけるか不安だった。

学生に、大林教授の研究室の場所を聞いて行ってみると、祐輔が描いていたイメージとは違っていた。

歴史考古学というネーミングから、別棟に建られた古ぼけた木造の建物を描いていたが、大学内の、真新しい他の研究室と同じ並びに在った。

コンコン!

「は〜い、開いてますよ〜」

ドアをノックすると、中から男の太い声が聞こえてきた。

「あ…はい、失礼します…」

中に入ると、スチール製の組立て棚にびっしりと、おそらくは貴重で有ろう古い品々が並べてある。

祐輔が棚を避けるように奥に進むと、開けた場所に机が並んでいて、白衣を着た背の高い男が段ボールになにやら詰め込んでいた。

「あの〜…すみません」

声をかけると、男は振り返り祐輔をじっと見つめた。

「ああ、悠子くんの…祐輔さんですね」

男は手を休め祐輔と相対した。

「あの…何故それを?」

男は黙って隣りの机を指差した。祐輔が指先を辿ると、机の上に祐輔の写真が入った写真立てが置かれていた。

「悠子…」

「悠子くんはいつも貴方の自慢をしていましたよ…」

祐輔は写真立てをじっと見つめた。

「申し遅れました。悠子くんと同じ研究員の、牛嶋と言います…この度は…その、なんて言ったらいいか…」

「いえ…」

祐輔は軽く頭を下げた。

「あの…大林教授は何の研究をされているんですか?」

「ん〜…その研究は、悠子くんと教授が二人で進めていた研究だからね〜。詳しい事は知らないんだけど…スターリンについて調べてたみたいですよ」

「スターリン…旧ソ連の指導者だった?」

「指導者というより独裁者だね…レーニンが病死した際、スターリンは権力を握らんがために、四人の実力者を次々と失墜させ、殺したそうです」

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