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Mind Adventure 22

[390]  籬 規那  2008-05-10投稿

「わ…ご、ごめんなさいっ…」

先程一目置いたばかりにも関わらず、フラフラと3歩もけば通行人にぶつかっている。


見兼ねたフィレーネに手を引かれ、相変わらずよたよたと歩く妖需と、戦いがどうも結び付かくて。



もしも、もしも俺達が、もって平和な世界に生まれていたなら。
ふと、そんな事を考えてしまった。

ジンも妖需も、底抜けに明るい振る舞いをしつつも、常に気を張り、本当弱みを見せる事はない。

絶対に。


「………」

だから、そんな必要のない生活を思い描いてしまう。

まるで、焦がれるように。








「ディル?」

気付けば、妖需が心配そうにこちらを見上げていた。


「どうしたの?ぼうっとし……っ!」


金属音が辺りに響いた。

「なんだ、お前は!」

たった今、妖需と衝突した男性は、苛立った様子でこちらを怒鳴りつけた。

「ご…ごめんなさい……」



立派な鎧で武装した兵士とぶつかり、結果尻餅をついた妖需の方こそ、結構痛かったと思うのだが。



「なんだ。その目は?」

妖需が素直に謝っているにも関わらず、ディルにまで喧嘩を売ってくる始末だ。

馬鹿だろ、この糞野郎。


「その恰好……国のお抱えの兵士様がこんな所にいるのは、理由があるからだろーが?」



火に油を注ぐ行為だというのはわかっている。


だが、こういう力で物事を捩伏せるような大人なんぞ、ディルの一番嫌いなものなのだ。



「餓鬼なんぞに構ってねーで、さっさと行ったらどうだ?器の小せぇ奴だな」

「んだと……!」

男性が抜刀しようと、腰を沈めた。ディルも呼応するように、半身になり、拳を固める。


相手は剣を構えようとしているのだ。殴るくらい、正当防衛というものだろう。

舐めた真似をしたのは向こうが先だ。



体を軽く前に倒し、頭は極力低く。

腕は突き出す直前まで、腰に引き付けて―\r


「待ってください!ぶつかった事も、ご無礼もこの通りお詫びしますから……!」

妖需が必死に訴える。



怒りが、激走する。
苛々する。


なんなんだよ、これ………!?

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