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星の蒼さは 56

[486]  金太郎  2008-05-10投稿
(つまり、本国が欲する兵器がその艦に搭載されているという訳ですね)
「その通りですわ」
(それを我々に回収せよと……)

モニターの向こうで色白な男がニヤリと笑う

「勇猛名高い“幽霊艦隊”と、それを率いる有能な指揮官エンリコ・ラグン中佐の手腕を以てすれば赤子の手を捻るようなものでしょう?……成功の暁には大佐への昇進も有り得ますから」
(大佐…クク…ナリタ基地の陥落により、本国からの補給が絶えている…苦しみに歪む彼らの顔が浮かんできますよ。クク…)

とても好きにはなれないこの顔と口調。暑苦しく伸ばした髪はオシャレのつもりなのか。

「よい報告をお待ちしておりますわ」

通信を切り、アイ・ナギラは二の腕に立っていた鳥肌を抑えた。

「そんなに嫌いか?下衆だが信頼はできるぜ?」

背後にはいつの間にか男が立っていた。

「下衆だけで十分気持ち悪い」

「しかし、土田のジジイもヤキが回ったな。一隻で魔の海を渡らせようなんて…開戦当初は俺もぶちのめされたもんだったが…この様だ」

ギンジ・ニノミヤは足元に転がる老人の骸を転がし、笑った。
難攻不落と謳われたナリタ要塞は完全に屈服し月軍の手中にある。

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