『ごめんね』
聞き飽きる程君は何度も言う
何処までも僕に気を使う君
そんなに頑張ったらまたどうにかなってしまう

変わらないと
僕が変わらないと
口数が減る僕に君が必死で言葉をかける

何も考えていなかった
謝っても謝りきれない
簡単に変われるなら苦労はしない
だけどもうこれ以上傷付けられない

僕と君は表現の仕方が違う
君はきっと『好き』とか『会いたい』とか『さみしい』とか素直に言葉に出来る
だけど僕は恥ずかしくなったり言わなくても分かってくれると期待して言葉に出来ない
だから君も言っていた
『あなたは何も言わないから私も何も言えない』
『我慢しないといけないのかな』
そうやって言葉を飲み込んでいる

二人でいるのに孤独を感じたり
離れているから何か安心を欲しがったり
色々苦しめた

『私の事好き？』
君の突然の問いかけにしばらく沈黙が続く
君が笑いを零す
『もういいよ』

『好きだよ』と即答をしてあげられたらいいのにまた駄目な僕になる
変わらないといけないのに
君を安心させたいのに
今すぐ君の元へ行って疲れ切った傷付いた小さな体を抱きしめてあげたいのに

『変な事聞いてごめん』と君にまた謝られている
自分が嫌いになる
君は知りたかったはずなのに
僕からの『好き』を聞いて安心して眠りたかったはずなのに
君は今頃泣いているだろうか

電話を切った後悔しくて情けなくて不意に涙が出る

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