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夢の想い(25)

[372]  けん  2008-05-11投稿
ピクリと僅かに此葉の体が反応する。
(む…今少し反応したのじゃ)
憑位していた狐弦糸を押さえ込み洋介が表に出てくる。
顔付きも洋介のものに戻った。
「おい!狐文!根底ってどういうこったよ?」
(それはわからん。此葉が夢に捕われているのは獏の呪縛もあるが、本人自体が何かしら強い想いを抱いているからじゃと想うが…)
「世話のやける…。ひっぱたいて起こしても駄目なのか!?」
そういいながら洋介は具足を形成した足で倒れた獏を蹴り上げる。
(ぐふっ!?)
「薫!どけ!」
「えっ?はっはい!」
獏の巨体が目の前に落ちて来た瞬間洋介は後ろ回し中段蹴りで獏を蹴り飛ばす。
「オラぁっ!」
(うごぉっ)
そのまま獏は長谷部を下敷きにするように吹き飛んだ。
「薫!戻れ!」
そういいながら洋介自身も此葉の元に駆け寄る。
(今なら獏の呪縛も弱まっているかもしれん。)
洋介は此葉を揺さぶりながら声をかける。
「おい!此葉!目を覚ませ」
変化は見られない。
「ちっ…此葉!…おばさん!此葉おばさん!」
「うぅ…」
「目を覚ませ!おばさん!」
「お…さ………い……」
「おさい?意味わかんねぇよおばさん。おばさーん!目ーをー覚ーまーせー」
「おばさんって言うな!」
此葉が目を覚ますと同時に蹴りが放たれた。
「うっ!?」
洋介の股間に…。
「あれ…?学校じゃない…?ココどこ?」
状況が掴めないままきょろきょろと辺りを見回す。
(そんなにおばさんと呼ばれるのは嫌なのか…)
狐文はほとんど呆れていた。
「あれ?洋兄倒れこんでどうしたの?」
状況も掴めず洋介の心配をしている。
「か…薫…。こんな女の何がいいんだ…?」
「えっと…あはは…」
薫は渇いた笑いを上げていた。
(とりあえず此葉よ…)

……………………。

状況を説明し終わると同じ頃に獏もまた立ち上がっていた。
「糞…獏の役立たずめ…もう一度ちゃんと捕まえて僕の…」
(うるさいぞ…。)
「えっ?」
(貴様のような想いの力が無いものを主とした儂が愚かだったわ…もう用無しだ!消えろ)
そういうと獏はその象のような鼻で長谷部を吹き飛ばす。
(名をなんという?)
「え?遠野…」
(狐の方じゃ)
「俺の方が狐弦糸。こっちが狐響牙だ。」
(九尾であったか…)

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