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戦国暇人記―其の一―

[503]  いっと  2008-05-12投稿
「暇じゃのう。何か面白い話は無いか?」
「…お主、殿から疎まれておるのではあるまいな?」「そのような事があるはずは無かろう」
「ふむ…まあよい。昨日、偶然道を歩いていたらの、草むらから何やら声が聞こえてきたのじゃ」
「ほう」
「それに聞耳を立てていたらの、どうやら敵方の忍者が三人、これからの情報収集の方針について話し合っておった」
「何!?それはどのような事じゃ!?」
「この国の野菜の味をもう少し調査したい、と一人の忍者は言うておった」
「は?」
「もう一人の忍者は、殿の寝所で添い寝したいと言うておった」
「…なんじゃそれは」
「もう一人は、最近の自分達への扱いがなっていないと憤っておった」
「…最後の一人の意見は頷けるが、前の二人の意見は訳が分からぬのぉ」
「殿にこの三人の事を話したら、大層慌てておったぞ」
「…慌てる事かの?」
「殿にとってはいつそれが実行に移されるか、不安で仕方がないようじゃ」
「ふうむ…分からぬ」
「殿はあの顔じゃからな。それも頷けるがの」
「何、顔とな?」
「殿は猿顔じゃろ?」
「うむ…」
「忍者の正体はな、猿じゃったんじゃよ」
「…ああ、成程、って、お主、何故猿の言葉が!?」

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