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猫〜ミイ視点・終〜

[344]  黄粉  2008-05-17投稿
僕は撃たれていなかった。さっきの衝撃は白猫に押されたからだろう。

大丈夫?呼び掛けてみた。だけど、白猫が死んでいた。僕みたいに毛が真っ赤だった。血が固まれば僕とそっくりだろう。

(みんなは?)

他の猫は逃げてしまった。今ここにいるのは僕と死んだ白猫だけだった。

僕はバス亭に帰った。



だけど亜梨沙はまだ帰って来ていなかった。早かったかな?僕は待った。しかし、夕方になっても、夜になっても亜梨沙は帰って来なかった。

ただ、近くでパトカーのサイレンが聞こえた。

少しそっちに目をやると、亜梨沙がいるではないか。


警官に連れられ、パトカーに乗ろうとしていた。

(亜梨沙!)

亜梨沙はこっちを向いた。しかし、すぐ俯いてしまった。

(え・・・・。)

ただ、感じられたのは、亜梨沙に生気が全く感じられなかったこと。

「なになに?事件?」

「あの子が犯人だそうよ。」

「泥棒か何かですか?」

間もなく、たくさん人が集まってきた。

(亜梨沙!)

パトカーが走りだすと、同時に僕は飛び出した。

「あっ、あの猫あの子が連れてた・・・。」

一人が呟く

「危ない!!」

誰かがそう叫んだ瞬間、僕は赤い光に飲まれた。




ドンッ






僕は死んだ。

後ろから来ていたパトカーに跳ねられたらしい。






痛かった。そして悲しかった。


すぐ近くにいたのに、駆けていけば会えた距離だったのに・・・


ごめんね。どうして僕は人間じゃなかったんだろう?

どうして僕は人間の言葉が話せなかったんだろう。









すれ違うばかりの僕たちの運命は変わることは無かった。









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