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肉を食べてはいけない村?

[672]  レオン  2008-05-18投稿
男が死んだ後、村人達は山へ入る事を恐れた。

何故なら「生臭様」と言われる得体の知れない化け物がいるからだ。

それでも、飢えは容赦なく村人達に襲ってくる。

そこで仕方なく、村の男集が集まり、山へ食料を採りに行く事になった。

腰に鉄砲やナタを携えて、万全の装備で山へ入る。

しばらく歩くと、一匹の兎が目の前に現れた。

男達はすかさず、鉄砲で兎を捕らえた。

「よし、もっと奥へ入ってみよう。」

始めて獣を捕らえた喜びで、男達は気を良くしてズカズカと山奥へ入って行く。

そこでは、狸や猪や鳥が面白い様に捕れる。
男達は夢中で獣を追った。



気付けば、日はとっくに暮れていて、随分山奥へ入って来てしまっていた。

「これから、村へ降りるのは危ない。今日は山の中で一晩過ごそう。」

男達は、大きな杉の木の下に身を寄せ合った。

「あ〜。一日中狩りして、腹が減ったなぁ。」

一人の男が言った。

他の男達も同じだった。

男達の目の前には、さっき捕った獲物がある。

「兎一匹ぐらい、いいだろう。」
男達は肉を口にした事がなかったので、この兎をどうさばけばいいか分らなかったが、どうにか毛を毟り取り、内臓をえぐり、肉を切り取った。

すると一人の男が言った。

「何か、桂三(殺された男)みたいだなぁ。」

あの光景が蘇り、食欲が失せる。 が、せっかく捕った食べ物を粗末にする訳にもいかず男達は、生肉を貪り食った。

始めて食べる肉は、生臭くて血の味がする。しかし、食べなれると癖になる味で、男達は夢中で食った。

夢中で食ううちに、今日捕った獲物を全部食ってしまった。

腹一杯になった男達は、知らないうちに寝てしまっていた。


ガサガサッ ガサッ ガサガサ


男達の周りを何者かが歩く音がする。男集の一人が音に気付き、薄目で様子を伺う。

暗闇の中で、月明りに照されて小さな子供の様な影が5・6体見えた。

「生臭様だっ!!!」

男がそう思った次の瞬間、小さな影が隣りに寝ている男に飛び掛かった。
バリッ グシュッ クチャクチャ

「うっう〜〜〜」

嫌な音と隣りの男の呻く声が響く。

その音に他の男達も飛び起きて、それぞれに鉄砲を手にした。

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