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大好き7終

[487]  黄粉  2008-05-21投稿
静かになった理科室の中、愛菜は一人立ち尽くしていた。

どうしよ・・・

私、刑務所に入らなきゃダメだよね・・・やだ・・・

恐ろしさと不安が膨れ上がるばかりで、愛菜はパニックになっていた。

ギィ・・・

「!!」

誰かが理科室の扉を開けた。

見覚えのある長い髪が見えた。

「何これ!うぅ・・・っ臭い!」

七海だった。生臭さに耐え切れなくなり、鼻を塞いでいる。

「七海・・・!」

愛菜は自分の犯した罪を友人に見られ、泣きたくなった。

「愛菜・・・!まさかコレあんたがしたの!?」

七海は廊下に向かおうとした。恐らく教師に報告しに行くのだろう。

「やめて!」

愛菜は走った。視界が階段に変わった。

「・・・きゃあぁっ!」

ズダダダダダッ

階段から落ちたらしい。体が所々痛む。

そして、横には七海が倒れていた。

「七海・・・!」

七海は動かない。腕は変な方向に曲がり、目からは血を流していた。

「うわ・・・!」

田口がいた。田口は、返り血で赤く染まった愛菜の制服を見て後ずさった。

「違う・・・!私、階段から落ちて・・・」

「来るな・・・!」

田口は愛菜の手を振り払った。

廊下には静寂しかなかった。そして、悲しみ。

愛菜は俯いて、話し始めた。

「田口、私が田口の事好きだったの知ってた?」

「え・・・?」

愛菜は、お伽話を聞かせるかのように、田口に話しかける。

そして、悲しい表情に変わった。

「・・・でも、田口に嫌われたら意味ないね。」

愛菜は素早くポケットからビーカーの破片を取り出し、首筋にあて、引いた。

「やめろ!」

愛菜の首筋から、鮮血が吹き出した。

「田口も皆も、大好き。」

首を切ったのにも関わらず、愛菜は喋っていた。


その表情は、哀しく微笑んでいた。


廊下には、愛菜の血の海ができていた。





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