星の蒼さは 61
「どうにもならないわ。成田基地に援軍を要請しましょう」
覆しがたい圧倒的物量差に加え、この濃霧。既に戦いの趨勢は決していた。
時代遅れのソナーでは魚雷を撃ち込める程の正確な位置を把握できない。
成田基地からの援軍を頼む他なかった。
爆撃機の存在だけで大局は変わる。
「成田基地に入電!」
「やってますが、繋がりません!」
オペレーターの一人が悲鳴を上げる。
「通信妨害や故障の類ではなく、通信システム自体が変更されています」
「どういう事?」
滝川は顔をしかめた。通信システム自体の変更は稀だが、必ず全部隊にその旨は伝えられる。
滝川の心の中に、数日前に感じた疑念が頭をもたげてきた。
裏切り。
あくまで推測と憶測。
成田が自分達を“天使”を検証する為の餌にしたのではないか。
それを指示したのは土田准将ではないか。
艦ごとその証拠を魔の海に沈めようというのか。
「艦長。こうなったら米国を頼る他ありません」
荒木が額の汗を拭いながら言った。
「艦の奪取を狙う敵はまだ手緩い。合衆国海軍の力を以てすれば或いは…」
手はそれしかなさそうだった。
滝川は決断した。
覆しがたい圧倒的物量差に加え、この濃霧。既に戦いの趨勢は決していた。
時代遅れのソナーでは魚雷を撃ち込める程の正確な位置を把握できない。
成田基地からの援軍を頼む他なかった。
爆撃機の存在だけで大局は変わる。
「成田基地に入電!」
「やってますが、繋がりません!」
オペレーターの一人が悲鳴を上げる。
「通信妨害や故障の類ではなく、通信システム自体が変更されています」
「どういう事?」
滝川は顔をしかめた。通信システム自体の変更は稀だが、必ず全部隊にその旨は伝えられる。
滝川の心の中に、数日前に感じた疑念が頭をもたげてきた。
裏切り。
あくまで推測と憶測。
成田が自分達を“天使”を検証する為の餌にしたのではないか。
それを指示したのは土田准将ではないか。
艦ごとその証拠を魔の海に沈めようというのか。
「艦長。こうなったら米国を頼る他ありません」
荒木が額の汗を拭いながら言った。
「艦の奪取を狙う敵はまだ手緩い。合衆国海軍の力を以てすれば或いは…」
手はそれしかなさそうだった。
滝川は決断した。
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