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安楽の黒〜2−1〜

[397]  2008-05-23投稿
明日、4/10に25回目の誕生日を迎える石橋孝也は仕事を終え、彼女が開いてくれるという誕生パーティーに胸を踊らせ帰路を急いでいた。
会社から徒歩5分の駅に着いてみるとやはりいつもの通勤ラッシュで人でごった返していたが、人間というのはひょうきんなものでいつもなら足を踏まれようものなら胸倉を掴み怒鳴り散らしてやろうかというぐらいに苛立っているのが今日は全くそんな気にはならない。
むしろ踏みたい人には差し出すくらいの仏の様な気持ちだった。
というのも孝也の彼女、斎藤恵美は看護師の仕事をしており、孝也が会いたくてもなかなか時間が合わず、それに休みも少なくあったとしても平日がほとんどで、2ヶ月に1度、それに数時間程度しか会う事ができなかった。
そんな彼女が自分の為に貴重な1日を割いて誕生日を祝ってくれるというのだから孝也がそんな気持ちになるのは無理もなかった。
 
やっとの事で快速電車に乗り、15分程度電車に揺られた後自宅から最寄の駅に到着した。
いつもなら人がなく殺風景なこの駅にも人が多く、それで今日は土曜日なんだと思いだす。
それでも孝也は苛立つ事はせずゆっくりとした足どりで改札をぬけ、孝也は週末の喧騒を背に明日の大イベントを思い、自宅への歩を早めていた。

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