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一週間 最終章 クチズサミ 7

[396]  伊守弐ノラ  2008-05-23投稿
「祐輔くん?…まさか、祠の中に遺体が有ると言うのか…」

「違います…春樹さん、この祠退かすの手伝ってください」

祐輔は、洞窟の突き当たりに建てられた、小さな祠の屋根の辺りに手をかざしたと思ったら、いきなり祠を動かし始めた。

「祐輔くん!この祠はポリトの霊を鎮めるために必要なんだ…止めなさい!」

「だから…彼を鎮めるためには、祠が邪魔なんです」

「何か分かったのか…」

春樹は半信半疑で祠の元へ歩み寄り、祐輔と祠を担いで隅へ置いた。

「なんだ…これは」

春樹は驚いた。祠に隠れて気付かなかったが、その裏の岩の裂け目には、こぶし大から小さいのまで、いろいろな大きさの石がぎっしり詰まっていた。

「やはりな…」

祐輔が石の詰まった隙間に手を当てると、冷たい空気の流れが感じ取れた。

「ポリトフスキーの亡骸は…おそらくこの奥です」

祐輔は詰まった石のひとつひとつを手で取り除き始めた。それを見ていた春樹も一緒になって手伝い、ようやく全て取り除くと、大人が横になって進める程の岩の通り道が現われた。

二人は顔を見合わせた後、何も言わずに祐輔が先頭になって蟹歩きで進んでいった。

祐輔に少し遅れて春樹が岩の裂け目を抜けると、祐輔が突っ立っていて、その足下には白骨死体が俯せに横たわっていた。

「やはり居たのか…」

「そうみたいですね…春樹さん、見てください」

祐輔に促されてよく見ると、その白骨死体は軍服を着ていて、右手の側には拳銃が転がっていた。

「自殺?…」

「ですね…そこに風呂敷が有る。菊枝さんに、何が入ってるかは言わずに持って来させたんじゃないかな」

「そして軍服に着替え、その中に忍ばせてあった拳銃で…何?!」

祐輔と話しながら、何気にその風呂敷を照らした春樹は言葉を詰まらせた。

「い…一週間の歌だ…一週間の歌だよ、祐輔くん!」

「えッ!」

祐輔は春樹の元へと駆け寄った。

すると、春樹の照らす風呂敷一面に浮かび上がっていた。

血文字で書かれた、祐輔の思い出せなかった一週間の歌が…。

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