ハイブリッドワールド 第12話 《フリッツ編》
ベルはフリッツを部屋に招くと急いで部屋を片付け始めた。
と言っても部屋の中は殺風景で片付ける物などほとんど無い。
1つのベッドに小さな流し、後はテーブルがあるくらいでその上には小さな白い花が挿された花瓶が添えられている。
彼女によく似た白い花、殺風景な部屋に寂しくも美しく咲く白い翼。
フリッツはベッドのシーツを取り替えるベルを優しい眼差しで見つめていた。なんとなく温かい気持ち…
そんな気持ちになったのは久しぶりだった。
いつからだろうか。家族とたわいもない話をしているとき、恋人の肩を抱いているとき、そのときの温かい気持ち、それを忘れたのはいつからだろうか…。
「俺がアメリカを守ってやる!」。そう勇んで言った言葉。そんなものは今ではただ虚しいと思うだけだ。
結局守れなかった。大切な者さえも…。
家族も、…婚約したばかりの最愛の人も、この世に生まれることなく消えていった我が子も…
そして自分の顔からも笑顔が消え、残ったのは憎悪と虚しさだけになった。
ベルがせっかくシーツを替えてくれたにも関わらずいつの間にかフリッツはイスに腰かけたまま眠ってしまった。
深い深い眠り、過去の夢さえも見せることの無い深い眠り。
…だがその眠りもそう長くは続かなかった。
ベルの叫び声とともにフリッツは飛び起きた。
「起きてください!!」
ベルの危機迫る表情と声、それが今のこの異様な状況を表している。
フリッツはベルにせかされ家の外に出た。
夜なのに妙に明るい。周りはオレンジ色の炎に包まれている。
「こっちです!」
そう叫んでベルはフリッツの手を引いた。が、動かない。
フリッツは目を丸くし空を見上げている。ポカンと口を開けたまま空を自由に駆け回る黒い何かを見つめていた。
「…ドラゴン…!?」
と言っても部屋の中は殺風景で片付ける物などほとんど無い。
1つのベッドに小さな流し、後はテーブルがあるくらいでその上には小さな白い花が挿された花瓶が添えられている。
彼女によく似た白い花、殺風景な部屋に寂しくも美しく咲く白い翼。
フリッツはベッドのシーツを取り替えるベルを優しい眼差しで見つめていた。なんとなく温かい気持ち…
そんな気持ちになったのは久しぶりだった。
いつからだろうか。家族とたわいもない話をしているとき、恋人の肩を抱いているとき、そのときの温かい気持ち、それを忘れたのはいつからだろうか…。
「俺がアメリカを守ってやる!」。そう勇んで言った言葉。そんなものは今ではただ虚しいと思うだけだ。
結局守れなかった。大切な者さえも…。
家族も、…婚約したばかりの最愛の人も、この世に生まれることなく消えていった我が子も…
そして自分の顔からも笑顔が消え、残ったのは憎悪と虚しさだけになった。
ベルがせっかくシーツを替えてくれたにも関わらずいつの間にかフリッツはイスに腰かけたまま眠ってしまった。
深い深い眠り、過去の夢さえも見せることの無い深い眠り。
…だがその眠りもそう長くは続かなかった。
ベルの叫び声とともにフリッツは飛び起きた。
「起きてください!!」
ベルの危機迫る表情と声、それが今のこの異様な状況を表している。
フリッツはベルにせかされ家の外に出た。
夜なのに妙に明るい。周りはオレンジ色の炎に包まれている。
「こっちです!」
そう叫んでベルはフリッツの手を引いた。が、動かない。
フリッツは目を丸くし空を見上げている。ポカンと口を開けたまま空を自由に駆け回る黒い何かを見つめていた。
「…ドラゴン…!?」
感想
感想はありません。
「 182 」の携帯小説
- ミッションゼロ 第7話『二週間』
- ミッションゼロ 第6話『帰還』
- ミッションゼロ 第5話『恐怖』
- ミッションゼロ 第4話『出撃』
- ミッションゼロ 第3話 『反撃』
- ミッションゼロ 第2話 『攻撃』
- 一生のお願い