ハイブリッドワールド 第13話 《フリッツ編》
この街の夜はよく冷える。太陽も無いうえに山の中だ。
だが今は違う。慌てて家を出た2人の背中にオレンジ色の光が映え、その部分だけが熱をおびる。
家を焼く炎、人々の叫び声、そのどれもが異常だった。
2人は街の外まで逃げるとはじめて後ろを振り返る。
「街が…消える…」
肩を震わせ、声を出さずにベルは燃える街を見ながら涙を流していた。
どこまでもきれいで優しい少女の心、自分を罵り虐めた人間にも涙を流し、良い思い出も、何も無いはずの街にも涙を流す。
今のフリッツには到底理解し得ないものだった。
フリッツは複雑な気持ちを抑えベルの手を取り暗い森の方へ走った。
「待ってください!夜の森は危険です!」
だがフリッツはベルの声も聞かず奥へと進んだ。
確かにこんな世界であれば夜の森にモンスターが出るなんてことは有り得ない話ではない。だが相棒のF25を置き去りにするわけにはいかない。
来る時とは違い必死に走ったからか意外に早く相棒の元までたどり着く事ができた。
「これは…何ですか…」
目を丸くするベル、フリッツがドラゴンを見たときの目と同じだ。
硬く冷たそうな灰色の機体、端から見れば何とも不気味だ。
「早く乗るんだ!」
既に搭乗していたフリッツがコックピットから手をさしのべた。
ベルは恐る恐るその手をとるとフリッツはベルを引き上げた。
灰色の機体は木々への衝突を考慮し、ホバリングでゆっくりと地を離れ浮き始めた。
するとすぐに聞き慣れない大きな羽音が聞こえた。
前方には黒い影、煌々と光赤い目に鋭い剣のような爪と牙、槍のような角、今にも食い殺されそうなその眼光にフリッツは想像以上の恐怖を感じた。
防衛本能とでもいうのか。
恐怖を感じたその瞬間機関砲の連続音が鳴り響いた。
最も火力の低い装備とは言え岩を簡単に破壊するほどの威力だ。
だがそこには破壊されることなく仁王立ちするドラゴンが大きな口を開けていた。
「よけて!」
ベルのとっさの一声でF25は急上昇。
眼下に広がる火の海を目にしたフリッツは息をのんだ。
圧倒的火力。破壊力は別として全てを焼き焦がす広範囲、超高熱量の炎、まさにその空間は『火の海』と化していた。
だが今は違う。慌てて家を出た2人の背中にオレンジ色の光が映え、その部分だけが熱をおびる。
家を焼く炎、人々の叫び声、そのどれもが異常だった。
2人は街の外まで逃げるとはじめて後ろを振り返る。
「街が…消える…」
肩を震わせ、声を出さずにベルは燃える街を見ながら涙を流していた。
どこまでもきれいで優しい少女の心、自分を罵り虐めた人間にも涙を流し、良い思い出も、何も無いはずの街にも涙を流す。
今のフリッツには到底理解し得ないものだった。
フリッツは複雑な気持ちを抑えベルの手を取り暗い森の方へ走った。
「待ってください!夜の森は危険です!」
だがフリッツはベルの声も聞かず奥へと進んだ。
確かにこんな世界であれば夜の森にモンスターが出るなんてことは有り得ない話ではない。だが相棒のF25を置き去りにするわけにはいかない。
来る時とは違い必死に走ったからか意外に早く相棒の元までたどり着く事ができた。
「これは…何ですか…」
目を丸くするベル、フリッツがドラゴンを見たときの目と同じだ。
硬く冷たそうな灰色の機体、端から見れば何とも不気味だ。
「早く乗るんだ!」
既に搭乗していたフリッツがコックピットから手をさしのべた。
ベルは恐る恐るその手をとるとフリッツはベルを引き上げた。
灰色の機体は木々への衝突を考慮し、ホバリングでゆっくりと地を離れ浮き始めた。
するとすぐに聞き慣れない大きな羽音が聞こえた。
前方には黒い影、煌々と光赤い目に鋭い剣のような爪と牙、槍のような角、今にも食い殺されそうなその眼光にフリッツは想像以上の恐怖を感じた。
防衛本能とでもいうのか。
恐怖を感じたその瞬間機関砲の連続音が鳴り響いた。
最も火力の低い装備とは言え岩を簡単に破壊するほどの威力だ。
だがそこには破壊されることなく仁王立ちするドラゴンが大きな口を開けていた。
「よけて!」
ベルのとっさの一声でF25は急上昇。
眼下に広がる火の海を目にしたフリッツは息をのんだ。
圧倒的火力。破壊力は別として全てを焼き焦がす広範囲、超高熱量の炎、まさにその空間は『火の海』と化していた。
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