良子…自分を見つめ直して?
仲間たちと飲んで酔っている1人の女性客がフラついて良子とぶつかった。
弾みで女性は床に転倒、良子はその下敷きになってしまう。
美枝良(びえら)と名乗る女は何も言わず、席へ戻ろうした。
良子は直ぐに起き上がって美枝良さんの所へ歩み寄った。
「人にぶつかっておいて、知らん振りなの?謝りなさいよ」
と声を掛けた良子。
「なあんだテメェ」
きちんと身なりからは想像も出来ないような口の悪い美枝良さん。良子から注意を受けたのに謝るどころか、逆にキレてしまった。
ヤンキーのような口調で良子に激しく食ってかかる。
この人、よほど気が短いのか…良子が言い返すと、いきなり掴み掛かって来た。
女同士、酒に酔っての喧嘩である。
仲間たちの方は
─俺たち関係ねェ。─と言ったような見てみぬフリの態度で、喧嘩を止めようともしなかった。二人の喧嘩の仲裁に入ったのは、あの女性である。
かなり興奮している美枝良さんをなだめた。だけどそう、簡単には美枝良さんの怒りが治まらない。
良子に又、掴み掛かろうと身構えている。
すると、女性は何を思ったのか美枝良さんの顔に向けてサッと手をかざす仕草をした。
女性から催眠術でも受けたかのような表情で美枝良さんは段々とおとなしくなった。
「あなたからぶつかって来たんでしょう?
彼女に謝ってよね」
女性がそう言うと、美枝良さんは素直に謝った。別人みたいに大人しくなった美枝良さんの振る舞いに良子は呆気に取られたけれど、一応は相手の謝罪を受け入れた。
すると、仲間の1人が女性に詰め寄った。
「よう、アンタ!
俺の女に、何を恥さらしてんの!?」
亜久男(あくお)と名乗る男性は、美枝良さんの恋人。女性に対して因縁を吹っ掛ける。
自分の彼女が人の前で頭下げさせられたのが気に入らないらしい。美枝良さんに非があるからだと女性は釈明するけど、亜久男さんは認めない。
「そのブス女がよ、ボーッとしていたのが悪いんだろうがッ!」
「他人のせいにするなんて、あなたって、サイテーねェ」
「何じゃコラァ!」
激怒する亜久男さん。チンピラみたいに相手に威圧感を与えるから余計、始末が悪い。
だけど、女性は屈する事なく毅然とした態度を取る。強気の姿勢だった亜久男さんも、
女性の巧みな言葉遣いに振り回されて段々と苛立って来た。
つづく
弾みで女性は床に転倒、良子はその下敷きになってしまう。
美枝良(びえら)と名乗る女は何も言わず、席へ戻ろうした。
良子は直ぐに起き上がって美枝良さんの所へ歩み寄った。
「人にぶつかっておいて、知らん振りなの?謝りなさいよ」
と声を掛けた良子。
「なあんだテメェ」
きちんと身なりからは想像も出来ないような口の悪い美枝良さん。良子から注意を受けたのに謝るどころか、逆にキレてしまった。
ヤンキーのような口調で良子に激しく食ってかかる。
この人、よほど気が短いのか…良子が言い返すと、いきなり掴み掛かって来た。
女同士、酒に酔っての喧嘩である。
仲間たちの方は
─俺たち関係ねェ。─と言ったような見てみぬフリの態度で、喧嘩を止めようともしなかった。二人の喧嘩の仲裁に入ったのは、あの女性である。
かなり興奮している美枝良さんをなだめた。だけどそう、簡単には美枝良さんの怒りが治まらない。
良子に又、掴み掛かろうと身構えている。
すると、女性は何を思ったのか美枝良さんの顔に向けてサッと手をかざす仕草をした。
女性から催眠術でも受けたかのような表情で美枝良さんは段々とおとなしくなった。
「あなたからぶつかって来たんでしょう?
彼女に謝ってよね」
女性がそう言うと、美枝良さんは素直に謝った。別人みたいに大人しくなった美枝良さんの振る舞いに良子は呆気に取られたけれど、一応は相手の謝罪を受け入れた。
すると、仲間の1人が女性に詰め寄った。
「よう、アンタ!
俺の女に、何を恥さらしてんの!?」
亜久男(あくお)と名乗る男性は、美枝良さんの恋人。女性に対して因縁を吹っ掛ける。
自分の彼女が人の前で頭下げさせられたのが気に入らないらしい。美枝良さんに非があるからだと女性は釈明するけど、亜久男さんは認めない。
「そのブス女がよ、ボーッとしていたのが悪いんだろうがッ!」
「他人のせいにするなんて、あなたって、サイテーねェ」
「何じゃコラァ!」
激怒する亜久男さん。チンピラみたいに相手に威圧感を与えるから余計、始末が悪い。
だけど、女性は屈する事なく毅然とした態度を取る。強気の姿勢だった亜久男さんも、
女性の巧みな言葉遣いに振り回されて段々と苛立って来た。
つづく
感想
感想はありません。