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死体処理少女・三

[579]  黄粉  2008-05-25投稿
「私、人を殺した事があるんです。」

最初、裕也は意味が分からなかった。

殺した?誰を?

目の前にいる、ごく普通の高校生。

彼女は殺人行為をはたらいたことのある人間だった。

「嘘だろ・・・?」

しかし、橋本は無表情で裕也を見返すだけだった。

「早く埋めないと見つかりますよ?」

その言葉を聞いて、裕也は我にかえった。

「・・・うん。」

ただ二人は、黙々と、暗くなるまで穴を掘り続け、遂に人二人が入れるくらいの穴ができた。

「じゃあ、埋めますか。」

無事終わって良かった・・・。だが、複雑な気持ちだった。

何故このアパートには人が出入りしないんだ?

しかも学校から橋本の自宅まで人に一度も会っていない・・・

おかしい・・・。

「先輩?」

死体を穴に詰め込みながら橋本は話し掛けた。

「あ、ごめんな。」

裕也は再び作業に戻った。








―――ようやく、作業が終了した。

「気をつけて帰って下さいね。」

「じゃあな。」

アパートの前で、二人は別れた。

橋本には、何か不思議な雰囲気がただよっていた。

殺人行為をはたらいた人間だというのに、全く狂気というものが感じられなかったのだ。

「橋本、おまえさぁ・・・・」

振り向いたが、橋本はいなかった。

家に入ったのかな?

まあいいさ。

死体のことは忘れよう・・・・。

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