ハイブリッドワールド 第14話 《フリッツ編》
間一髪のところで急上昇した機体はドラゴンを見下ろすように旋回した。
わずか数十メートル下に光る赤い眼光。
その直後、バサリバサリと不気味な羽音を響かせドラゴンが飛び立った。
もちろんそれは初めて見る得体のしれない『獲物』を食らうための飛翔だ。
「ベル!とばすぞ!」
ハッとしたベルは体勢を整え衝撃に備えた。
一気にスピードを上げたF25は見る見るうちにドラゴンを突き放す。
いくらドラゴンとは言え動物には違いない。
アフターバーナー無しでマッハまで到達するF25にスピードで勝るはずがない。
しかしフリッツはある程度距離をとった後急旋回し再びドラゴンへと向かっていった。
F25の基本武装は空対空のミサイル12発に2発のホーミング、それに加えこの機体には空対地の地中貫通弾『バンカーバスター』が2発備えられている。
だがこの世界に補充するミサイルはない。そのことは当然フリッツも分かっていた。
(…機関砲がダメなら…)
フリッツがコックピット下部のスイッチを押すとガチャンという金属音の後ウェポンベイから灰色のシリンダーが姿を表した。
F25の最大の特徴である装備『ブルーランス』、それは電力稼動で半永久的に使用できる。いわゆるレーザービームの事だ。
半永久的とは言っても最大連射数は20発、それを越えれば充電が必要になってくる。
ドラゴンとの距離は数百メートル、F25は攻撃の体勢へと移った。
青い閃光
その光を感じるのとほぼ同時に黒いドラゴンの表皮が爆ぜた。
通常ミサイルほどの破壊力は無いもののその熱量は数十倍はある。触れただけで瞬時に細胞を焦がすことなど容易だ。
6発中5発の閃光を食らったドラゴンは空中でぐるぐると回りながら悶える。
完全に仕留めた訳ではなかったが黒い巨体はそのまま地上へと落下していった。
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