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安楽の黒〜4−1〜

[305]  2008-05-27投稿
孝也は昨夜の惨事のせいで眠らずに4/10を迎えていた。
あの奇妙な死体の第一発見者として今朝まで警察に取り調べを受けていたのだ。
もうすぐ恵美が来るというのにまだ孝也のマンションの前には警察関係者や、更にはマスコミ関係者までもがうろついている。
できれば昨夜の事なんか忘れて今日という日を迎えたい。
しかしこんな状況を恵美が見たら間違いなく根掘り葉掘り聞いてくるだろう。
そうしたら孝也にはシラを切り通す事はできそうにもなかった。
なぜなら恵美は孝也にとって嘘発見機のような存在で昔から恵美は孝也の嘘をことごとく見破っていたからである。
孝也には恵美いわく、嘘をつく時、ある事をしてしまう癖があるらしかった。
孝也は一時期その癖を見つけるのに必死だったがとうとう今まで見つけられずにいたのだった。
そんな事を考えていると間もなく恵美がやってきた。
 
「ピリリリリリ」
 
恵美は部屋の前に着くといつも携帯をワンコールだけ鳴らして切る。
一度いたずらで恵美からかかってきた瞬間電話を取った事があったが何故か鬼の様に怒られたので恵美が家に来る時は携帯を触らない様にしている。
 
「はぁい」

「あ、私〜」

やはり恵美だ。

「誕生日オメデト〜!!はい、これ!!プレゼント!!!」

「お、ありがとう〜」

おかしい。
恵美が何も聞いてこないなんて。
いつもなら野次馬根性を見せて血相を変えて首を突っ込んでくるのに。

「なぁ、恵美」

「いいの…」

「えっ?」

孝也は言葉を遮る急な恵美の一言に拍子抜けした。

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