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愛のかたち第2章

[496]  木下 悠  2008-05-27投稿
母がいなくなって1ヶ月が過ぎた。愛子は学校から帰ってくると、食事の支度をする日々となった。

兄の慶は、文句こそ言わないが、イライラする毎日で大きな声で怒鳴る事が多くなった。

父は、仕事から帰ってくると、母の捜索に時間をついやした。たまに母から電話が入るので録音できる電話機に変えた。

愛子は段々怯えるようになってきた。父の機嫌を伺い、慶の言う事には従う。愛子は無意識に自分を守るため、自分を押し殺すようになった。

学校では、母の事は入院してる事になっていた。クラスの子には、母の見舞いにも行かないつめたい奴。と責められ、仲のいい友達にも見舞いに行くから病院教えて。と、返答に困る事を聞かれるようになり、まだうまく嘘がつけない愛子はクラスで『嘘つき』と言われるようになった。

学校でも家でも居心地が悪くなった愛子は、夕方よく玄関の前で道ゆく人を眺めるのが日課となった。

そんな生活が3〜4ヶ月過ぎた頃、夜中に父が慌てて「ママが見付かった!迎えに行ってくる!」愛子は不安や、嬉しい気持ちでなかなか眠れなかった。慶もだまってたが、なかなか眠れない様子だった。

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