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虚月の灯 追憶の星空

[294]  風海 月華  2008-05-28投稿
空色ファンタジア

何も見えない。何も聞こえない。こんなにも、空に近い場所にいるのに。
見上げた空は美しかった。近くに行きたいと想った。触れたいと想った。
触れた空は冷たかった。どれだけ近付いて触れても、遠かった。そして、
空は、汚れていた。
地から見れば、美しく見えた。けれど、汚れていた。こんなにも、こんなにも美しいのに。
嗚呼、来てしまったのだ。脚を踏み入れては行けない場所に。人が知ってはいけない場所に。
鳥の様に、此の背に翼があったならば、と――。

? 最果て

「空は、綺麗なの?」
私は、側にいた翼を持つ少年に問う。
「綺麗だよ。とっても綺麗だ」
少年は笑って言う。私は言った。
「そうなんだ。私じゃ分からないんだね」
彼は言った。
「きっと分かるよ。何時か、ね…」
分からなかった。彼の言っていることが。
「僕は、もう行くね。だから最後に、名前、教えて?僕の名前も教えてあげるから、さ」
彼はそう言って笑った。私は言った。
「忘れちゃったの。ずっと此処にいたから」
彼は悲しげに言う。
「そっか…僕は、リエル。君は、名前を忘れちゃったんだね…」
「そうだよ。忘れたの」
私が淡々と言うとリエルは微笑して言った。
「じゃあ、名前つけてあげる。…うん、チイ…、チイがいい。僕の大好きな、地上にある植物だよ」
「チイ…私の、名前…?」
唖然とした表情で私が言うと、リエルはニコッと笑って言った。
「じゃあ、ね。チイ、また何時か逢おう」
バサリとリエルが翼を広げる。私は、大きな声で叫ぶ様に言った。
「リエル。有り難う」
「どう致しまして」
それだけ言って、リエルは飛び立ち、私の前から、消えた。
私は、また独りになった。


これは、何時の話だったのだろう。思い出せずに、私は、天界の鳥籠を開け、飛び出していた。
此の事が何を意味するか知らずに――、只――。

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