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ワーキング・プアからの脱出 2

[524]  楽園 海風  2008-05-28投稿
第1章 倒産
「社長、残業ですが来月の支援は出来かねます。」
2003年4月、某信用金庫の応接室での出来事です。50年に及ぶ照明器具製造会社が幕を降ろした瞬間でした。照明器具製造を通じ、広く社会に貢献する事を社是とし、日々努力を重ねたにもかかわらず、関西でも有数の老舗を倒産という最悪の結果に導いてしまいました。
社会がこの会社を必要とするなら存続できると信じていました。日々、誰にも負けない努力を重ね、私利私欲の為でなく、公利の為という崇高な精神で経営に邁進したにもかかわらず、最悪の結果を招いた原因が分からず途方にくれました。
社長に就任して以来、熟睡した事はありませんでした。寝ている間も資金繰りの事を夢の中で考えていました。
正月を迎えるのは少しも楽しくありませんでした。新年、1月4日から手形決済の相談に金融機関に行かなければならないからでした。
2003年1月、この年の正月は特に厳しい状況に追い込まれていました。施設照明器具製造業では、オフィスビル建設の最後に照明器具が取付けられる関係で、1年後位までの売上が予想できました。この年の関西地方の売上予想は最悪でした。
それに追い討ちを掛けるように、主取引先である某電機メーカーが当社製造の標準品を全て内製化して引き上げてしまいました。
当社の売上は10分の1に落ち込み、年間の売上見込みも会社を維持できる金額ではありませんでした。
約束手形の不渡りを防ぐ方法は在りましたが、これ以上、商売を続けても負債額を増やすだけで、将来に対して明るい希望はありませんでした。苦渋の決断でしたが、商売を止めることにしました。
義父、義母、義妹と妻を集め、経営状況を説明して、今後1年の受注予想が会社を維持できる金額に到底及ばない事を説明して、会社経営を諦める事を告げました。
会社が倒産する事で、私と義父は自己破産に陥る事も説明しました。
家族の了承を得た後、私は弁護士に相談に行きました。
つづく

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