安楽の黒〜7(LAST)−1〜
男はベッドに横たわっていた。
今度は男にもすぐにここがどこであるかわかった。
白いシーツに白い掛け布団、そして周りには白いカーテンが周りを囲んでいる。
男は病院にいた。
隣には顔中シワだらけの女性が椅子に座りこちらを見ている。
その女性は外見の割りに背筋がピンと伸びており、全体に白くなった髪を後ろで束ね綺麗にまとめている。
服装にも気を使い、自分が女である事を忘れていない。
間違いなくあの女性だ。あの時俺の妻であった女性。
男はそう思った。
「起きましたか?」
「あぁ」
男は不思議と自分がどうしてこうなっているのか気にはならなかった。
その時、突然病室のドアが開いた。
そこには見知らぬ男が立っていた。
小柄ではあるが服の上からでもわかる程の筋肉質な肉体である。
「おぅ…、久しぶり…」
そいつは、妻に小さくお辞儀をし、何か気まずそうな感じで男に言った。
「おぅ、久しぶりだな」
男はそいつが誰だかわからなかったが、自然と返事が出た。
ただ懐かしい感じは確かに感じていたのだ。
それからは男の病院生活は走馬灯の様に駆けていった。
いろいろな人がきた。
高校のアルバムを持ってきて何十年も前の思い出にふける人。
元気よく入ってきたと思えば話している最中に急に泣き崩れる人。
男が昔大好きだったという女の子を連れて見舞いにくる人。
みんな男には懐かしかった。
みんな男には大好きな人達だった。
ただ、みんな男を見る目はどこか悲しげで、淋しげで、哀れみを含んでいた。
男は悟った。
自分はもうすぐ死ぬのだと。
今度は男にもすぐにここがどこであるかわかった。
白いシーツに白い掛け布団、そして周りには白いカーテンが周りを囲んでいる。
男は病院にいた。
隣には顔中シワだらけの女性が椅子に座りこちらを見ている。
その女性は外見の割りに背筋がピンと伸びており、全体に白くなった髪を後ろで束ね綺麗にまとめている。
服装にも気を使い、自分が女である事を忘れていない。
間違いなくあの女性だ。あの時俺の妻であった女性。
男はそう思った。
「起きましたか?」
「あぁ」
男は不思議と自分がどうしてこうなっているのか気にはならなかった。
その時、突然病室のドアが開いた。
そこには見知らぬ男が立っていた。
小柄ではあるが服の上からでもわかる程の筋肉質な肉体である。
「おぅ…、久しぶり…」
そいつは、妻に小さくお辞儀をし、何か気まずそうな感じで男に言った。
「おぅ、久しぶりだな」
男はそいつが誰だかわからなかったが、自然と返事が出た。
ただ懐かしい感じは確かに感じていたのだ。
それからは男の病院生活は走馬灯の様に駆けていった。
いろいろな人がきた。
高校のアルバムを持ってきて何十年も前の思い出にふける人。
元気よく入ってきたと思えば話している最中に急に泣き崩れる人。
男が昔大好きだったという女の子を連れて見舞いにくる人。
みんな男には懐かしかった。
みんな男には大好きな人達だった。
ただ、みんな男を見る目はどこか悲しげで、淋しげで、哀れみを含んでいた。
男は悟った。
自分はもうすぐ死ぬのだと。
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