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安楽の黒〜7(LAST)−3〜

[341]  2008-05-30投稿
次に男が意識を持った時には、真っ逆さまに落下していた。


目の前には見慣れたタイル張りの床が迫ってきている。


男は瞬時に死ぬことを覚悟した。


しかし男には全く後悔や恐怖はなかった。


むしろ晴々としていた。


なぜなら男は一瞬の内に最愛の人との一生を経験したからである。

 
 
 
 
 
 
そして男は激しく着床した。
 
 
 
あたりには不快な音が響きわたり、周りにいる物は皆驚きの表情を浮かべている。


しかしその男の表情だけはその場に不釣り合いなものだった。


 
 
 
 
 
 
徐々に集まり出した野次馬達の視線の先にあったのはまるで悔いなく人生を全うしたかの様に安らかに微笑んだ男の顔であった。
 
 
 
 
そして、辺りを包む朝の優しい光は男の頬を流れる1粒の雫を清楚に照らしていた。




−END−

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