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書けない鉛筆 第6話

[213]  ソウキュウ  2008-06-03投稿
シンと静まる空間。窓から差し込む夜の光が僅かに蒼く、岡村を照らしていた。
岡村の部屋の前で泣いているその姿と背景は何故か演劇の一幕を見ているように繊細だったのを覚えている。
「何よ、こっち見ないでよ」
『見ちまったもん、仕方ねぇだろ。』
あの一幕がまるで俺が泣かしたような場面に変わる前に
『ちょっと部屋に来ないか?』
「え?」
『早くしないと行くぞ』
すたこらと歩き出す。駆け足で岡村は俺の後を着いてきた。

俺の部屋に入り、好きなとこに座れよと偉そうに喋る俺。岡村はベッドにちょこんと座る。毛布を足にかけてジッと黙っていた。
俺は机の上に座り、足をぶらつかせていた。『泣いてたのか?』
「泣いちゃ悪い?」
『悪いなんて言ってないだろ?なんでツッパるんだよ?素直に話そうぜ』
「…」
「怖かった」
『火事が?』
「それもそうだし、これからどうなるのかなって、どうしたらいいのかなってさ」
『どうにかなるんでない?』
「何軽い事ばっかり…」
『あのなぁ〜、あくまで結果論だけど今こうしてお前はどうにかなってんだろ?違うか?』
「そりゃそうだけど」
『今の岡村には辛い事言うかもしれないけど、これからどうなるのとか言ってるけど火事が起きた事は変わらないんだぜ?今のお前に出来る事なんて普通に学校行くしかできないし、後はお前の親に任せとけばいいんだって、親がいたお陰で住む所がここにあるじゃねぇか』
「私は何も出来ないの?」
『今はな。だけど無力とかって思うなよ。』
「なんで?」
『後からお前がやらなきゃいけない事が出てくるかもしれないから』
「何?それ、意味わかんない」
『俺だってわからない、けど親を助けてやりゃいいんでない?話聞くだけでもいいし。』
「それだけ?」
『それだけが出来ない奴が山ほどいるんだぞ?』
「そうかぁ」
『だろ?なら話聞いてあげるだけで親も安心するぞ?』
「そうかなぁ?」
『そう思う前にやってみろよ。わからないならやってみろって』
「まぁ参考にしとく、それと…」
『は?』
「ありがとう」
『ありがとうなんて言わなくてもいいさ。たいしたこと言ってないし』
「そうだ。私、あんたの事全然知らないから教えてよ」

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