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ワーキング・プアからの脱出 14

[423]  楽園 海風  2008-06-11投稿
その青年の風貌は飄々としていました。長身で178センチ以上はありそうでした。髪はカールが掛かり、俗に言う癖毛、センスの良い細身の眼鏡、その奥には細い一重瞼に知性を感じさせる鋭い眼が光っていました。
まるで私の力量を測るように、腕組みをしながら、じっと私を見詰めていました。この青年が、この後、最も長く共に仕事をするパートナーとなるとは、この時の私には知る由もありませんでした。
とにかくパソコンに詳しくて、何を質問しても即座に答えが返ってきました。後で知ったのですが、彼は信頼性保証部のネットワークの責任者で、学生時代の専門は制御工学と聞いたように思います。
神経質そうな風貌とは違って、とても明るい性格で、1日に何度も、大声で笑う姿を目撃しました。少し漫画チックな風貌で、似顔絵に成り易いと思いました。
この会社は漫画の題材にし易い風貌の持ち主が多く、部責は怪しげなアラブ人で、酒席では必ずワイシャツを前後逆に着て、頭にハンカチをネクタイで巻き付け、口に強い酒を含み、手に火を付けた紙を持ち、それに酒を噴きかけ、火を噴くのですが、その度に自前の口髭が焦げてチリチリになる、とてもお茶目な老人でした。係責はお地蔵さんそっくりで、最初に見た時、有り難さのあまり、思わず手を合わせて拝みそうになったくらいです。その他、ポケモンのカメックスにそっくりな、ずんぐりした体型と頭のてっぺんだけが髪の毛が無い、愛嬌のある定年間際の独身小父さん。本当に漫画にしたいと、本気で思っていました。ユニークなタレント揃いの職場ですから、なお一層、仕事が楽しく成って当然でした。
パソコン青年との仕事は、とてもハードでした。会社内では全ての人に苗字に『さん』を付けて呼んでいました。それは、今現在も同じで、例え新入社員の10代の女性でも同じです。
そのパソコンさんとの仕事は、毎日21時過ぎまで仕事をして、その後、翌日の準備に1時間位かかり、仕事を終えるのは22時を過ぎていました。
自分自身の仕事を好きになる。例え、アルバイトでも、自分に与えられた仕事を好きになる事が大切だと思います。好きになれば工夫が生まれます。好きな仕事を如何にすれば、もっと多くできるかを考え、工夫します。最初は1台だけを任されていましたが、1週間後には3台、1ヵ月後には5台、最終的に最高7台を私1人で操作していました。 つづく

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