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頭脳と頭脳(5)

[626]  未熟  2008-06-13投稿
「どれだ?」
哲史のほうを見た。
「これっす。たこあし回線の内部っす。典型的な仕掛けかたっすね。」
哲史の言うとおり。
電気の供給が絶え間なくおこなわれるため、仕掛けられる場所としてはメジャー。
さすがに心得てる。
しかし、いつ仕掛けた?
鍵は常にかけている。
ピッキング?いやそれはありえない。なにせ・・・・・・
「他にはないですね。」
部屋の全ての場所を見てくれたようだ。
長く考えすぎだな。
「ありがとう。助かったよ。」
「いえいえ。兄貴のためですもの。それよりも、たこあし回線に、コンセントさしすぎっすよ。周りもぐちゃぐちゃじゃないっすか!」
怒った様子で、そんなおかど違いなことを。
たしかに、たこあし回線からは何本もコードが絡まりながらでていた。
冷蔵庫や電子レンジ、テレビに扇風機、パソコンなどなど。
しかも、コンセントをぬいてもそのままにしてしまうため、周りに多数のコードがあり、絡まっている。
「これじゃあ電気代がもったいないですし、この辺を整理しないの丸出しじゃないっすか!」
相変わらず、金にうるさいな。
まあ、仕方ないだろうが。
だが、哲史の言うとおりだ。
この状況を見たら、ここならみつからないとよむろうな。
この冷静さ、場慣れしてやがる。
もしくは・・・・・・
それにしても、さすが哲史だ。
この心理をよんで、こんなにも早く盗聴器をみつけるとは。
頼りになる。
「ですから、俺はいつも・・・・・・」
そういえば、こいつの説教は長いんだった。
話を戻さないと。
「わかった、わかった。今度からは気をつけるよ。で、覆面についてなにかわかったことがあるか?」
盗聴器はあとで北島に調べてもらうとして、今は少しでも覆面に近付かなきゃいけない。
哲史は、話をうやむやにされたせいか、むっとした感じだったが、すぐに真剣な表情に戻った。
「いや、性別はおろか髪型すらわからないっすね。兄貴は?」
やはり、視覚からえられた情報はほとんどないか。
「覆面は自信家だ。自分へと至る道を教えてるとこからうかがえる。捕まらない自信があるからできる行為だ。」
そうっすね。と哲史がうなずく。
「また俺の住所、過去、性格を知っている。そして、万葉市でなにかの事件をおこしたことぐらいだ。あとはお前とたいして変わらん。」

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