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ワーキング・プアからの脱出 16

[1]  楽園 海風  2008-06-13投稿
この現場でも、実にユニークなキャラクターの持ち主に出会いました。その小父さんの風貌は50歳を少し超え、垂れ目に口髭、オールパックのヘアスタイルで、とても日本人には見えませんでした。まるで、怪しげな麻薬密売のメキシコ人に見えました。現に、小父さんの話では、アメリカの入国審査でヒスパニックに間違えられて別室で長時間の取り調べを受けたそうです。パスポートを見れば一目で日本人と分かった筈ですが、そのパスポートが偽造品と疑われたという笑えない実話でした。
この小父さんが、とんでもなく仕事をしない、正確には仕事をしていないように見えました。朝一番からパソコンの画面とにらめっこして、私が一仕事終わって1時間後に小父さんを見ると、1時間前と同じ姿勢で固まっていました。ひょっとして人形かなと思って、後ろから棒で突くと、ガオーと両手を上げて叫びました。やはり、ゲームセンターの胸にボールを当てると、手を上げて叫ぶ鬼とそっくりなので、もう一度棒で突くと、またガオーと両手を上げて叫びました。
そんな悪戯にもめげずに小父さんは1日中パソコンにかじりついていて、まるでメキシコ産のお地蔵さんのように、座り続けていました。あれから4年の月日が過ぎ去りましたが、メキシコ地蔵は相も変わらずパソコンにかじりついています。
もう1人、このプロジェクトリーダーも実にユニークなキャラクターの持ち主でした。年齢は私より3歳程上でしょうか、いつも派手なショッキングピンクのシャツに派手なネクタイをしていました。いつも大声でプロジェクトメンバーを叱りつけていました。その言葉が下手な関西の役者が使うような、『べらんめー調』の東京弁で、私は何度も笑いを堪え切れずに吹き出してしまいました。
ここでの、カラー機評価業務は、朝から晩まで、ひたすら自動計測装置に測定資料を装填、駆動する仕事をしていました。1度装填すると測定に約10分程度要し、その間やることがありませんでした。他の担当者に何か仕事は無いか聞いて回ると、市場クレーム調査評価でコピー機を操作する仕事があり、自動測定をしながら、市場クレーム機を操作していました。毎日、そのビルが閉まる夜の10時まで仕事をしました。瞬く間に1ヶ月が過ぎ、再びモノクロ機の評価に戻りました。
つづく

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