如月加夜と他ふたり
ラジオを良く聴く。何故なら仕事場で何時も垂れ流しにしているからである。一応いっておくと、別に遊んでいる訳ではなくて、社長の意向なのだ。兎に角、平日はいつもラジオ番組の虜となる。知っている音楽が紹介されるとつい口笛を吹きたくなったり、あまつさえステップを踏みたくなったりする。困る。もしもそんな所を見咎められたら怒られてしまう。けれど、そう思っていても、ラジオ番組は良い曲ばかりを選んで流す。そこには悪意が見えている。たぶん選曲をしている司会者は連続殺人者が次の凶器を荒縄にしようか包丁にしようか悩むようにCDを見ているのだろう。つまり、私たちリスナーは常に殺害の危険に晒されている訳だ。何時の日かラジオ殺人事件として新聞に載り、その時は第一被害者として私の名が活字になるだろう。多分その陰には私とラジオ局の死闘がある。私は悲運な死を迎えた。仕事場の壁にまで血液が張り付き、肉体は見る影も無くなっているのに違いない。恐ろしい手口。防ぎようが無いのだ。ラジオ消せば良いじゃんと思われるかも知れないが、ラジオからの音楽は面白いのでツマミに指が行かない。そしてまた事件が起きる。今度の被害者は誰だろう。そう言えば仕事場には他に二人の人間がいる。ラジオは明日も流れている。では……。
感想
- 997: いまさらながら、兎に角ってどういう意味?神山君が書くことはおもしろいなぁ〜〜〜。 [2011-01-16]
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