Mather
今 思い出すと
懐かしいな
今よりもう 少しだけ
餓鬼の時は
たくさん迷惑だって
正直
かけられたけど
あたしがかけた
心配の方が
何倍もあなたを
苦しめました
あたしは人より少しだけ
いつも
ちょっとハメ外しすぎる癖があって
小学から授業なんて
受けてらんねえ
年上の男に夢中なって
少し早すぎる煙草覚えて
帰ってくれば
いつも
少しの事でする喧嘩が
あなたとの習慣
その度に何度も家出だってしたし
中学上がれば
もう完全にやりたい放題
包帯巻いて帰ってくるのなんかしょっちゅうで
女の子なんだからやめなさい
ってあなたの言葉も
シカトするのが毎度毎度の事
夜になれば、また仲間のお迎えがやってくる
玄関に向かうあたし
引き止めるあなた
『あたしが何しようが勝手だろ』
手振り払った手が何故か痛い気がした
『…怪我が心配なんよ』
あなたのすすり泣く声すら
そん時のあたしには
届かなかった
微笑まなかった いつからかあなたの顔
凍える体で探してたなんて
知るはずもなく
こないだ無くしたって
騒いでた
本当はどうでもいい指輪
帰ってくると
泥だらけのあなたの靴
テーブルの上にコロンと置いてある指輪
なんとなく指にはめて
涙がながれる
いつまで、つっぱってればいいのかって
だけど今さら優しくなんてできない
照れくさいのもあんだけど
それ以上に
今まで辛い思いばかりさせた分の
泣かせた分
今さら合わせる顔がなかったんだよ
嫌いじゃなかった
大好きだよ
こんな馬鹿娘で本当にごめん
それからは
自営業だったうちの
仕事を手伝い
でも家計は辛いまま
夜は誤魔化した年で
水商売
出た分の給料は
全部あげるよ
そのうち仕事も
ほとんど選ばなくなり
高い給料ならそれなりのリスクも背負った
世の中金だって
金だけが全ての解決手段だって
本気でそう思い込んでた頃
教えてくれたのは
あなたでした
ずっと忘れないよ
あなたの愛情
あたしの心に灯る
小さな温かさ
今だからちゃんと
言えるよ
本当にごめんぬ
本当にありがとう
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