携帯小説!(PC版)

ヒカル12

[396]  マサト  2008-06-15投稿
灯?

動かない勇者、動けない二人。

黒い炎は消えていたが、その爪痕ははっきりと残っていた。
リリの表情にはいつもの冷静さが見られなかった。

ヒカルは剣を魔族に向けて構えていた。
二人の思考は完全に止まっていた。が、リリが我に返った。そして


「逃げるわよ!ヒカル!」リリが大声で言った。

「でも!キルバァさんは?俺達だけで逃げるのか?」ヒカルが半泣きで言う。

「じゃあここで殺される?私は嫌!」リリも半泣きになって叫ぶ。こうしてる間にも魔族は近づいてくる。


「で…でも…。」ヒカルが泣きながら言う。

「ハッキリ言うわ!キルバァさんは死んでる!もういいじゃない!」リリが叫ぶ。


「誰が…死んだだって?」キルバァが立っていた。体は光に包まれている。二人は当然驚く。

「急いで逃げろ!俺は大丈夫だ!」キルバァはそう言いながら魔族に突っ込んで行った。手には剣を持ってはいない。丸腰だ。

二人は何も言わずキルバァと魔族を後にした。


ヒカルとリリの背後で、キルバァと魔族を光が包む。恐らくキルバァの技だろうが、光があまりにも眩しすぎた。

闇を包むそれは正に強大な光だった。

二人はキルバァの魂そのものを燃やして輝いているようにも感じた。

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