ダメツマ、ダメオット。7
……………。
寒さで目が覚める。
ボクは、いつものように駅の地下道で朝を迎えた。
寝袋からはい出し、荷物をまとめて地下道から出る。
…あれから何日過ぎたのだろう。
理想と現実は全く違うもので、自然の厳しさにコテンパンにされ、自分の考えの甘さを痛感させられた。
ボクは盗んだ自転車で、海岸線沿いに南へ向かって放浪していた。
雪の降る道中、考える。
コレがボクの求めていた幸せなんだろうか。
気ままな旅生活。形は変わったが、誰に気を使うでもなく、生きるためだけに行動する毎日。
でも、なんか違う。
アタマの中に浮かんでくるのは、捨てたはずの思い出ばかり。
…流しイッパイに積み重ねられた汚れた食器類。
…何処からともなく発生した大量のコバエ。
…バスタブからエロ本を寂しく拾った夜。
…カノジョの怒った顔。
…カノジョの笑った顔。
…カノジョの泣いた顔。
………さみしい。
…カノジョに、会いたい。
もうボクの彼女ではない、カノジョに。
つづく
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