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花の調べ 6

[546]  朝倉令  2006-05-17投稿


僕が先日、咲季に教えた二十四歳という年令は、(実の所)かなりサバをよんだものである。


妻の薫もその「大ウソ」に吹き出していたが、次に花の館を訪れた時、僕の呼び方が改まっていた。



『あ、お兄さんお姉さん』

「あはは、有難う。冗談だったのに信じてくれて」


「うふふっ、本当は、 …ナイショにしとくわね」



少女の幽霊は、いつもの様に猫たち相手にピアノを弾いていたところだ。


僕と薫の笑顔に、二コッとほほ笑みを返してきた咲季。



今宵は【ポロネーズ第六番】(英雄ポロネーズ)を演奏してくれるみたいだ。



ピン、と張り詰めた独特のリズムを刻み続ける低音部に、華やかで印象的なメロディーが軽快に乗る。



聴き入っていると、不意に何か情景が浮かび上がってきた。



軽快なギャロップで目前を駆け抜ける騎馬隊の列。



遥か彼方から響いてくるファンファーレ…



そのイメージは、演奏の終了とともにゆっくりと消えていった。



咲季の奏でる音は映像をも聴き手に伝えていく様で、いつも不思議な雰囲気に包まれる。






それから数日経って、花の館(小村邸)にちょっとした変化が訪れた。




それは、僕達にとっても思いがけない事に発展していくのだった。







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