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君が思い出になる前に?

[440]  2006-05-18投稿
「今こうしてあなたの子を授かることも出来てとても幸せよ?…ック‥だけどね京ちゃん。あたしの心も絵里さんの体も…ヒック‥もう限界なの。この子が生まれると同時に…あたしたちはバラバラになって、消えるの。」
沙羅と絵里、それぞれの心と体が少しずつ噛み合わなくなり、もう限界に近いということを沙羅は悟っていた。京一の子を授かり、この子を生めば自分達は限界を超える。そのとき京一が沙羅を失ったときのような絶望をもう一度味わうよりは自ら話した方が良いだろう。沙羅はそう思い京一に話したのであった。
「沙羅…?絵里…?」
泣きながらも微笑む絵里の姿は確かに沙羅を感じさせた。
「俺は…また愛する人を失うのか…?」
京一の目に涙が浮かぶ。
「ううん、違うよ京ちゃん。この子がいる。生まれたらこの子を守るのが京ちゃんの義務なんだからね?」
京一はその場に泣き崩れた。絵里は京一の手を握りながら何度も「ごめんね」と呟いた。そして絵里は無事出産を終え、沙羅とバラバラになった。

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