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航宙機動部隊前史後編・8

[506]  まっかつ  2008-06-17投稿
同一五三七年第三期、ガニバサは中央域戦線でギャームリーグ第一七機動部隊を巧みに誘い込み、これを撃破した。
敵八七0隻撃沈に対し、味方は二千隻を失ったが、ほぼ同規模の艦隊戦でフリースユニオンが勝利を収めたのは、大戦史上これが初めてであった。
この功績で大将に昇進したガニバサの名声はいやが上でも高まった。

翌銀河元号一五三八年・ガニバサは自ら三つの提言をフリースユニオン軍中央に示した。
一つ目は、《ネオフリート》十万隻計画だ。
二番目は鹵獲したギャームリーグ艦船を土台に開発した新型艦種の正式採用・及び量産化だった。
そして―最後に来るのがその為に敵方の軍人や技術者全員の釈放及び登用だった。
最後の提言には附帯条件を追加しながらも、軍中央はガニバサの要請をほぼ全面的に容認した。

だが、より巨大で野心的な構想が、フリースユニオン=宇宙解放連盟内で練られていた。
再び第二戦線形成案が持ち上がったのだ。
今回はギャームリーグの誇る中核要塞群《アイアン=トライアングル》を突破するルートは取らず、大きく迂回して、裏口から敵三宙邦本国に攻め入る作戦だった。
だが、それは、予定航路の大半を人跡未踏の宙域が占める、危険に満ちた作戦だった。
探険隊ならいざ知らず、大軍を進める等常識からすれば本来やってはならない暴挙だったのだ。
最悪遠征軍が行ったまま行方不明になってしまう可能性も否定出来ない。

しかし、ガニバサはこの作戦を断固支持し、自らの《ネオフリート》の総力を挙げてこれを遂行すると宣言し、強引に構想認可をもぎ取った。
そして、その作戦に耐える実力を示す為に、彼は中央域戦線で行動を活発化させた。
彼はギャームリーグ機動部隊の戦術を詳細に研究し、一ヶ所に殺到する敵から一部隊を誘い出して包囲殲滅し、援軍が来る前に全速力で逃亡する千切り逃げ《チュー=アンド=ウェイ》戦法を編み出した。
先の敵第一七機動部隊への勝利は、こうして得られた殊勲だったのだ。

艦隊規模が大きくなると、複数の部隊で《チュー=アンド=ウェイ》を実行して、戦場に集結中のギャームリーグ全軍の戦線を崩壊させる事もしばしばだった。
同年末になると、ガニバサと《ネオフリート》の勇名は流石にギャームリーグ陣営にも知れ渡る様になった。

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