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死体放棄少女・五

[702]  黄粉  2008-06-18投稿
優子は、帰りに、ファミレスで電話をした警察署によることにした。

もう辺りは暗くなっており、警察署の窓から覗く明かりがよく映えてみえた。

「失礼します・・・」

警察署の、見張り警官は、「おや」という顔をすると、優子に駆け寄って来た。

「どうかしましたか?」

優子は、さっきこちらに電話をした者ですがと、橋本のアパートに放棄してあった死体について話した。

それを聞いた警官は、急いで署長にと連絡をした。

優子は、近くにあった椅子に座ると、あることに気がついた。

「あれ・・・?」

いくら、バックの中を探っても、無い。

唯一の橋本との思い出が詰まった、手帳が無くなっていた。

「うそ・・・!」

優子は、その場でうなだれ、はぁと溜息をついた。

「佐藤さん?気分が悪いのですか?」

そこには、五十代くらいだろうか、署長らしき男が立っていた。

「あの、橋本麻里奈についての件ですが・・・」

署長は紙を見ながら説明する。

「明日から捜査に取り掛かるつもりです。」

優子は、恐ろしくなった。

もしかしたら今頃、橋本が誘拐されて、森や山で埋められているのではないかと思ったのだ。

「明日からですか。今からって無理なんですか?」

優子は、署長に無理を言っているのを分かっていた。

しかし、橋本が心配で仕方なかったのだ。

「うん、心配なのは分かります。しかし、今は落ち着いて下さいね。きっと犯人を見つけてみせます。」

署長は、優子を励ましたが、今の優子には、どんな言葉も耳に入っていなかった。

「じゃあ電話番号を。あと、ご両親にも連絡を入れておきますね。」

若い警官が、紙に電話番号を書きながら言った。

しかし、優子は皆に橋本の事を知られるのを拒み、「やめてください」とだけいい、警察署を立ち去った。

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