ワーキング・プアからの脱出 22
その時の最高のメンバーで大会に臨みたいのは指揮官として極めて自然な心理です。その大会、1回だけに賭けるのであれば、その方法を選択するのは賢明な判断だと言えます。しかし、後々までの常勝軍団を作るのであれば、レギュラー6名以外の補欠は全て、次代を担う1年生を選ぶべきです。何故なら、例え補欠でも大舞台を経験する事で、試合度胸が付き、必ずや、その経験は、次の年の大会に大きく活かされからです。それが証拠に、この先生が担当されたバレーボール部で県代表に選出されたのは、先述の2回の後は、僅か1回だけであることからも理解していただけると思います。
私の在籍していた間の2回にしても、A君という天才がチームに入っていたことによるものと思います。勿論、バレーボールは団体競技ですから、いくら天才が1人入っていても、チームとしての纏まりが無ければ、勝利を手にする事はできません。しかし、纏まりのあるチームに1人の天才が加わる事で、チームの力は数倍に跳ね上がる事も事実です。団体競技ではチームの力と個人の技量により勝敗が決定するのです。
私がレギュラーになっていた年のチームは正にA君のワンマンチームでした。私はと言えば、やはり球技は苦手で、バレーボールの技術もあまり進歩が無く、調子が悪いと、すぐに補欠選手と交代させられる、情けないレギュラー選手でした。しかし、胸を張って自慢できる事が一つあります。それは、どの試合も、例え練習試合でも、如何に不利な状況に追い込まれても、いつも全力を尽くし、決して試合を投げ出したりはしなかった事です。
こんな事がありました。同じ市内に在る、某中学との練習試合での出来事です。連日の猛練習で疲れが溜まっていた我々のチームは、試合が始まると、連続でポイントを奪われ、0対14のセットポイントまで追い込まれました。それまで、どんなに連続ポイントされてもタイムアウトを取らなかった顧問の先生が、この時、初めてタイムアウトを取り、一言、
「ばかもん、逆転してこい。」
と、一喝されました。それで目が覚めた我々のチームは16ポイント連取して、なんとか、このセットを落とさずに済みました。
この経験から、その後、私は、如何なる悪条件、ギリギリまで追い込まれても、終了のホイッスルが鳴るまでは、決して諦める事無く、戦い続けました。
つづく
私の在籍していた間の2回にしても、A君という天才がチームに入っていたことによるものと思います。勿論、バレーボールは団体競技ですから、いくら天才が1人入っていても、チームとしての纏まりが無ければ、勝利を手にする事はできません。しかし、纏まりのあるチームに1人の天才が加わる事で、チームの力は数倍に跳ね上がる事も事実です。団体競技ではチームの力と個人の技量により勝敗が決定するのです。
私がレギュラーになっていた年のチームは正にA君のワンマンチームでした。私はと言えば、やはり球技は苦手で、バレーボールの技術もあまり進歩が無く、調子が悪いと、すぐに補欠選手と交代させられる、情けないレギュラー選手でした。しかし、胸を張って自慢できる事が一つあります。それは、どの試合も、例え練習試合でも、如何に不利な状況に追い込まれても、いつも全力を尽くし、決して試合を投げ出したりはしなかった事です。
こんな事がありました。同じ市内に在る、某中学との練習試合での出来事です。連日の猛練習で疲れが溜まっていた我々のチームは、試合が始まると、連続でポイントを奪われ、0対14のセットポイントまで追い込まれました。それまで、どんなに連続ポイントされてもタイムアウトを取らなかった顧問の先生が、この時、初めてタイムアウトを取り、一言、
「ばかもん、逆転してこい。」
と、一喝されました。それで目が覚めた我々のチームは16ポイント連取して、なんとか、このセットを落とさずに済みました。
この経験から、その後、私は、如何なる悪条件、ギリギリまで追い込まれても、終了のホイッスルが鳴るまでは、決して諦める事無く、戦い続けました。
つづく
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