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Disaster(7)

[436]  けん  2008-06-20投稿
「俺が…この旅客機に乗っていた?」
彼は無い記憶を必死に探ってみたが無いものはいくら探してもない。
もう一度記事に目を通して見る。
彼の目は恐るべき速さで文章を捕らえ、理解し記憶していく…。
「297人全てが行方不明のまま見つかってないみたいだけど」
スクラップを数十秒で読み終え彼は桑原を見る。
「そうよ。みんな見つかっていない。乗客は皆行方不明になったんじゃない…パンドラに掠われたのよ。私のせいで…」
「どういう…」
「私は…パンドラの科学者なの…」
「科学者?だからって飛行機に乗ったくらいで…」
「マヤを連れて組織を抜けようとしたの…そしてすぐに見つかって旅客機ごと研究所へ連れ戻されたわ。」
「マヤと?どうして…」
「あの娘は、私の娘よ…産まれた時からマヤは病弱だった。でも私は科学者で…製薬会社で勤務していたから娘を治す薬を必死で造ってた。その時に…偶然ある新薬が完成した。その新薬は病気を克服するどころか人間以上の力を与えてしまった。だから逃げたの…」
「その逃げる時に乗った旅客機にたまたま俺が乗っていた…。」
「そうよ。マヤの隣の席だったわ。貴方はとても優しくマヤに接してくれていたの」
「マヤはそのことは…」
「記憶を消されていて覚えていないわ…、貴方と同じように…」
「え…?」
貴方と同じように…?
記憶ヲ消サレテ?
「貴方と貴方の家族は…皆パンドラに殺されたの。あなただけがマヤの血で生き延びた…。」
「俺が…死んでる?」
「そうよ。貴方は一度死んで…生き返ったの。マヤの血の中にいたパンドラプロジェクトのナノウィルスで…。」
「俺の…家族は…?」
「最初の攻撃でマヤが出血して貴方は隣にいたからその血を浴びたの。そして第2波の攻撃で私とマヤ以外の全員が殺された。貴方は下半身を無くした状態でかろうじて生きていたからデータ採取の為に保護された。そして貴方は5年間眠り続けたの。ナノウィルスで身体を再生させながら…」
「………」
彼は言葉が浮かばなかった…ナノウィルスにより強化された頭脳は今の話しを全て現実のものとして理解していた。
ただ未だ人間らしさなのか…残っていた心がその事実を否定してようとしてた。
「少し聞きたい事が…ある。」

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