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ワーキング・プアからの脱出 26

[442]  楽園 海風  2008-06-22投稿
第5章 年1回の楽しみ
給料日に味噌汁付きの牛丼並盛、350円、を食べる事が月に1回の楽しみなら、年に1回だけの楽しみは、毎日の生活をできるだけ切り詰めて貯めたお金で行く、海外旅行です。
時給850円、年収147万5千円しか無いのに、何故海外旅行などに行けるのかと、不思議に思われるかも知れませんが、これは事実です。
2004年1月4日、関西国際空港からハワイに出発しました。家族4人の旅行費用は40万円、昨年の5月から一生懸命働いて貯めたお金でした。勿論、この費用で行けるのはオワフ島だけで、泊まるホテルもカラカウア大通りから1本運河側に入った所に在る、日本人以外の宿泊客が多いものでした。日本語を話すスタッフは居なくて、全て英語でのやりとりでした。
でも、インターナショナル・マーケット・プレイスの裏に位置して、内部を通り抜けて行くと、5分でワイキキビーチに出られる恵まれた立地条件に、コンドミニアムスタイルの部屋は大きな対面式キッチンとコネクティングルームで快適なホテルライブを楽しみました。
ワイキキビーチに出ると、そこにはシュラトン・モアナ・サーフライダーホテルが在り、宿泊していなくても、ロビーで寛ぐ事ができました。
大きめのデッキチェアに腰掛けて、眩しく輝くワイキキビーチを眺めていると、海からの爽やかな風が体の中を吹き抜けて行きました。全ての現実から解き放たれて、体中に溜まったストレスという都会の煤を、ハワイの海風が全て持って行ってくれる気がしました。
何もしない贅沢。打ち寄せる波の音と、体を包み込む爽やかな海色の風に、ざらついた心が、滑らかになって行くのを感じていました。
エメラルドグリーンから藍色に変化して行く海と、瑠璃色の空、目を貫いて行く眩しい陽光に、体全体がハワイの空気と一体に成って行きました。
夜のワイキキビーチで泳いでいる時、私の体の下を、体長50センチ程の海亀が追い抜いて行きました。海亀は私を見上げて、私は海亀を見下ろしました。一瞬でしたが、海亀の円らな瞳と目が合い、何か、とても幸せな気持ちになりました。ワイキキビーチにも海亀が居る事を初めて知りました。
無料でパックツアーに付いていたオワフ島遊覧船に2回も乗って、2回目は間近に鯨を見る事ができ、船内でランチを食べ、安上がりで最高の旅行でした。
つづく

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