ワーキング・プアからの脱出 29
第6章 別離
2004年10月、爽やかな秋空が続いていましたが、私の心は梅雨空のように、灰色の雲が重く垂れ込めていました。
「来年は南太平洋に行きたいね。」
妻に2005年の海外旅行に行く話しを持ちかけると、
「そんな余裕はありません。5年位経ったら行けたらいいね。」
と、いとも簡単に私の楽しみは砕け散りました。こんなに、一生懸命働いているのに、年1回の楽しみさえ否定する妻に対して、日頃からの不満が、ふつふつと沸き上がって来ました。
新婚当初の3ヵ月間だけ、妻は私より早く起床し、朝食の準備をしてくれていました。ところが、3ヵ月を過ぎる頃、妻は体調を崩して、体調不良の原因は、朝早く起きる事にあると言い出し、以来16年以上、私は自分の朝食を作って食べていました。朝食と言っても、インスタントコーヒーにトーストだけですから、この労働が苦痛な訳では無かったのですが、妻のコーヒーとトーストも私が用意して、私が妻を起こす事に苦痛を感じていました。朝食の用意ができれば、起きて食事できるのであれば、あと10分早く起きれば朝食の準備くらい出来た筈です。それを、さも当たり前のように毎日毎日、私に起こされる無神経さに、憤りを感じていました。
私は、正確には私の実家は妻の家族、正確には妻の父親に対して2000万円以上の貸付金がありました。それなのに、僅か700万円程の借り入れがあった妻の母親、私の義母の親戚に対しては毎月、定額の返済を続けていましたが、私の実家に対しては、1円の返済も行っていませんでした。会社が窮地に陥った時に、義父及び義母の親戚は全て支援を断ったのに、私の実家だけは2000万円という多額の支援を行いました。それを、さも当然のように受け取り、返済は知らない顔を決め込んでしまう。私は我慢できない憤りを感じていました。義父は私と同時に自己破産して免責決定を受けていましたから、法律上は返済の義務は消滅していました。しかし、謝罪の一言も無く、義母の親戚だけに返済を続けるのは納得できませんでした。
妻は私の携帯電話のメールを勝手に開いて読んでいました。2005年3月某日の深夜、就寝していた私を揺り起こして、
「これは何?」
と、私の携帯電話のメールを開いて、私に突き出しました。その当時、私は北海道の女性とメールのやり取りをしていました。
つづく
2004年10月、爽やかな秋空が続いていましたが、私の心は梅雨空のように、灰色の雲が重く垂れ込めていました。
「来年は南太平洋に行きたいね。」
妻に2005年の海外旅行に行く話しを持ちかけると、
「そんな余裕はありません。5年位経ったら行けたらいいね。」
と、いとも簡単に私の楽しみは砕け散りました。こんなに、一生懸命働いているのに、年1回の楽しみさえ否定する妻に対して、日頃からの不満が、ふつふつと沸き上がって来ました。
新婚当初の3ヵ月間だけ、妻は私より早く起床し、朝食の準備をしてくれていました。ところが、3ヵ月を過ぎる頃、妻は体調を崩して、体調不良の原因は、朝早く起きる事にあると言い出し、以来16年以上、私は自分の朝食を作って食べていました。朝食と言っても、インスタントコーヒーにトーストだけですから、この労働が苦痛な訳では無かったのですが、妻のコーヒーとトーストも私が用意して、私が妻を起こす事に苦痛を感じていました。朝食の用意ができれば、起きて食事できるのであれば、あと10分早く起きれば朝食の準備くらい出来た筈です。それを、さも当たり前のように毎日毎日、私に起こされる無神経さに、憤りを感じていました。
私は、正確には私の実家は妻の家族、正確には妻の父親に対して2000万円以上の貸付金がありました。それなのに、僅か700万円程の借り入れがあった妻の母親、私の義母の親戚に対しては毎月、定額の返済を続けていましたが、私の実家に対しては、1円の返済も行っていませんでした。会社が窮地に陥った時に、義父及び義母の親戚は全て支援を断ったのに、私の実家だけは2000万円という多額の支援を行いました。それを、さも当然のように受け取り、返済は知らない顔を決め込んでしまう。私は我慢できない憤りを感じていました。義父は私と同時に自己破産して免責決定を受けていましたから、法律上は返済の義務は消滅していました。しかし、謝罪の一言も無く、義母の親戚だけに返済を続けるのは納得できませんでした。
妻は私の携帯電話のメールを勝手に開いて読んでいました。2005年3月某日の深夜、就寝していた私を揺り起こして、
「これは何?」
と、私の携帯電話のメールを開いて、私に突き出しました。その当時、私は北海道の女性とメールのやり取りをしていました。
つづく
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