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死体放棄少女・完

[656]  黄粉  2008-06-27投稿
やがて映像は何年ほどかスキップし、それと同時に女の甲高い悲鳴が聞こえた。

さっきの映像にでてきた男が、女に刃物を突き付けていた。

やめて!嫌よ死にたくない!

女はそう言って、抵抗する。

しかし、男は叫びながら女に突進する。同時に女は猫の唸り声のような悲鳴を上げた。すると女の首から血飛沫がとんだ。

どうやら女の首に刃物を刺したらしい。

優子は、その映像を見たくなかった。なんの映像かもわからないモノを見せられるというのは辛いものだった。


男は女の死を確認すると、刃物を構え、自分の首に突き刺した。

男は短い断末魔の悲鳴をあげると、痙攣しながら床に崩れ、やがて静かになった。


優子は悲鳴を上げそうになった。込み上げる吐き気を抑え、しばらく、血で地獄と化した部屋を見ていた。



「ただいま」

その声と共に、部屋に誰かが入って来る音がした。


優子は息を飲んだ。

ドアの開く音がする。

入って来たのはセーラー服を着た少女だった。

「麻里奈・・・!」

これは橋本麻里奈の中学生の時の記憶だったのだ。

橋本は両親の死体を見下ろし、生臭さに、鼻と口を抑える。

その時映像が途切れた。
だんだん暗くなってゆく映像。

優子は橋本の名前を何度も叫んだ。たとえ橋本には聞こえなくても、優子は叫び続けた。

そして、映像が完全に見えなくなった後、橋本の悲痛な叫び声が聞こえただけだった。


「麻里・・・いっ!」


優子は体育館に倒れていた。刺された腹を見て、泣きたくなった。

その時、誰かの啜り泣くような声が聞こえた。

橋本が、体育館の入り口の前で血のついた包丁を片手に、泣いていた。

優子は橋本を追いたかったが、立ち上がろうとした際、腹に鋭い痛みが走り、そのまま気を失った。

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