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夕日が沈む前に(5)

[195]  主役は銭形  2008-06-27投稿
そこには静寂のみが広がった。女性は窓の外を見たまま静かに続けた。
「はい。私の娘も高校まで陸上をやっていました。高橋さんは娘が憧れていた人なんですよ。何かあるたびにあなたの名前を出して。あなたが大会で優勝するたびに自分のことの用に喜んでました。高橋さんは娘にとって特別な人なんです。」
女性はしっかりとした口調で理由を言った。そこには決意が見え隠れしていた。
「理由はわかりました。それで怪我してもまた陸上で頑張れって励ますために呼ばれたんですね。」
俺は全てを理解したつもりでそう答えた。俺自信も怪我で陸上をやめたからそう思ったのだった。すると女性は震えた声で言った。
「いいえ。娘はもう陸上はできません。」
その声は陰気な部屋に響いた。
「どういうことですか。」当然の疑問だった。怪我した人を励ますために呼ばれたと思っていた俺は理解ができなかった。
「娘はもう長くないんです。娘は怪我で陸上をやめたわけではありません。娘は病気なんですよ。」
「えっ。」
予想だにしない答えに俺は思わず言葉を発した。その言葉には驚きのほかに動揺がはっきりと表れていた。
「娘は急性白血病なんですよ。だからもう長くないんです。」
女性の目には涙が見えた。

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