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バス停 3

[124]  さにぃ  2008-06-28投稿
昼過ぎのバス停には、小さな女の子を連れたお母さんしかいなかった。女の子は髪を三つ編みにし、白いレースのついたとてもかわいいピンクのワンピースを着ていた。女の子はベンチに座って、足をばたばたさせていた。私は隣に座って、何歳?と、女の子に聞いた。4歳、と小さな手をひろげて言った。女の子は照れてしまったのか、すぐにお母さんのひざに顔をうずめてしまった。

しばらくしてバスがやってくると、女の子は突然起き上がり、私の顔を覗き込んで、天使のような笑顔で笑った。
お母さんに手をひかれ、女の子はバスに乗り込んだ。そして、バスの中から私に手を振った。何度も小さな手を振った。

私は家から持ってきた、少しレモンを搾ったミネラルウォーターを一気に飲んだ。冷たい水が私の体を一気に駆け抜けた。全てが洗われていくようだった。夜中に大雨が降った、次の日の朝、街全体がきらきらとキレイに見えるときのように、私の体はすべて洗われた気がした。
私はわかっている。十分、理解している。もう二度と、順平が最終のバスから降りてこないことを。もう二度と、彼の肉体に触れることができないことを。

人生の流れを、誰も止めることはできない。それは川の流れのように苦しくても、悲しくても、嬉しくても、毎日休むことなく流れ続ける。
まだ、私は若い。これからいろんな人に出会える。すれ違うだけの人、恋をする人、なんだか好きになれない人。そして、必ずいつかまた別れがやってくる。小さくなったバスに向けて、私は手を降った。何度も何度も手を振った。
順平。
私の意識とは別のところで、涙がぽろぽろとこぼれた。何度拭っても涙は止まらなかった。

私はそろそろ行かなくちゃいけない。楽しかった思い出も、悲しかった思い出も、すべてを湖に沈めます。私の心の湖の一番深いところにそっと沈めます。
ありがとう、順平。本当に大好きでした。

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