携帯小説!(PC版)

Mの風

[139]  チバ  2008-06-28投稿
「…マリアを呼んでくれ…」

ベッドに横たわる老人が、微かに唇を動かした。

傍らに座っている老女が一瞬だけ複雑な表情を浮かべたが、すぐに笑顔を作り、ツイと扉の方向へ視線を投げた。
その合図で、キングサイズのベッドの傍らに控えたスーツの男が、ス…と部屋を出た。

「少し待ってて。今、呼んでくるわ…」

広い部屋に夕日が差し込む。
老人は少し目を開けて、老女の手を握り、そっと呟いた。
「苦労かけたな…」

老女の目がじんわり潤む…。握った手に力が入った。
「…そんなことないわ…」


カチャリと部屋の扉が開く。スー…と静かな風が部屋に吹き込んだ。
開いた扉の先には、黒い髪の少女が佇んでいた。
少女は少し周りを見回すと、静かに老人の近くまで歩み寄った。

「…マルコス…。お前も行ってしまうのだな…」

老人は少し悲しげな目を少女へ向けた。
「…すまないな、マリア。私の役目はここまでのようだ」

感想

感想はありません。

「 チバ 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス