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Disaster(11)

[426]  けん  2008-06-30投稿
「で…君はそのまま負け犬の様に連絡を入れてきたわけか?」
黒塗りの大きな机の向こう側で外の景色を見ながら声の主はそう話してきた。
その姿は大きく背もたれの高い椅子のせいで全く見えない。
むしろ松村自身この会社に入社して以来社長の姿など見たこともなく、今日が初対面であった。
「しかし…」
「しかし?私はこういった事態を想定して防犯用の機材は支給したはずだが?」
「はっ…はい…。」
「なのに君は捕獲するどころか何も出来ずに実験体が逃走した後に連絡を入れている。これは何故かね?連絡する暇も無いほど一瞬で気を失った訳でもあるまい。」
「それは…実験体の変化が予想と全く違うもので…。」
「私はこのウィルスが人体に与える影響は一種類では無いといわなかったかね。」
「…そういった指示は請けておりました。」
「ふむ…ならば君も科学者ならどういった変化を起こすか実証は出来てなくとも何パターンかの予想は出来ていなかったのかね?」
「……………。」
「ふむ…優秀な科学者だと思って期待していたのだがね。」
そういうと社長と呼ばれた男はいつ点けたのかもわからないうちに煙草の煙りを吐き出すと指を鳴らした。
「う…なっ、何をする!?」
いつの間に部屋に入っていたのか、それとも最初からそこにいたのか…松村が気付かない内に大男に両腕を後ろに捻り取られる。
「残念ね…松村さん。頭脳で会社に貢献出来ないなら肉体で貢献して下さいね。」
そういいながら目の前に現れた女は松村の顔を自身の胸に納める。
「あ…貴女は、くっ…」
「ごめんなさいね。」
その言葉と共に松村の首に赤い液体の入った注射を打ち込まれると…
そこで松村の意識は途絶えた。
「その男はいつもの場所へほうり込んでおきたまえ。」
「わかりましたわ。」
そういうと頷いた大男と共に女は部屋を後にした。
「フッ…厄災が降り懸かるか…案外我等にとっては厄災ではなく底に残った希望なのかもしれんな。」
プププッ…プププ…
机に備え付けられたインターフォンが鳴り響く。
「なにかな?」
まるで別人かのように柔らかい言動でインターフォンに応じる。
「社長。間もなく会議のお時間です。第一会議室へお願いします。」
「わかったよ」
そう応えると部屋を後にした。

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