Mの風(2)
ス…と、少女は手を伸ばし、老人の頬に触れた。
「前から言ってるだろ。別れには慣れている…。そんなに哀しい目をするな。いつかまた逢えるだろうから…」
「マリア…」
老人が、少女の手を握った。
「…おこがましいかもしれないが…。わたしは誰よりも…マリアを大切に想っていたよ…。君と過ごせた70年間は最高な…時間だった…。できれば…わたしも……君と同じ…ように……………」
少女の手から、老人の手がこぼれ落ちた。
広い部屋に沈黙だけが流れる。
マリアと呼ばれた少女は、もう一度老人の手を握ると、呟いた。
「人間が…いいだろう…」
マリアの黒い瞳に銀色の光が煌めいた。
「前から言ってるだろ。別れには慣れている…。そんなに哀しい目をするな。いつかまた逢えるだろうから…」
「マリア…」
老人が、少女の手を握った。
「…おこがましいかもしれないが…。わたしは誰よりも…マリアを大切に想っていたよ…。君と過ごせた70年間は最高な…時間だった…。できれば…わたしも……君と同じ…ように……………」
少女の手から、老人の手がこぼれ落ちた。
広い部屋に沈黙だけが流れる。
マリアと呼ばれた少女は、もう一度老人の手を握ると、呟いた。
「人間が…いいだろう…」
マリアの黒い瞳に銀色の光が煌めいた。
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