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星の蒼さは 89

[464]  金太郎  2008-07-03投稿
「これで消え失せろ」

ルシファーの“能力”により、両腕のエネルギーユニットからはアポロの憎しみと殺気によって真っ赤に染め上がった光子エネルギーが太陽の様に照り耀いていた。

顔面を強打され、カメラがイカれたのか、この白いWWは僅かな光子エネルギーを放ちながらも、動きを止めていた。

蒼い微弱な光はルシファーの赤い太陽に塗り潰されて消えかかっている。

後悔しているのか、ルナ

殺してやる。哀れな地球人と一緒に死ねばいい

そう思った時だった。

アポロ

一瞬耳鳴りかと思ったが、違う。この白いWW越しに喋っているわけでもなさそうだ。

心に直接響くような……

死ねなんて、そんな悲しい事言わないで

優しく温かい真っ白な光が彼に近づいてくる。

それは形を為してルナの姿になり、差し伸べられた白い手にアポロは身を委ねそうになって慌ててその手を払った。

うるさい!裏切っておいてそんな顔をするな!

ゴメンね。

そう言ってルナは彼の心を抱き締めた。

白い何かが心の中に入っていき、赤く血を噴き出した心から血を拭き取っていく。

気が付くと、もうルシファーの両腕に赤い光は宿っていなかった。





「ハッハッハッ!素晴らしい!これが“藍”が言っていた[能力]!」

蟒丸(ウワバミマル)のコクピットの中で二ノ宮は一人爆笑していた。

光から精製するエネルギー[プロミネンス]

太陽兵器TheGodOfDayの全てであり、世界中を灰に変えた。

このシステムが初めて搭載されたのが

ルシファーと、対になるWWミカエル。

二つを併せて名付けられたその名も

ANGEL

搭乗者の心から“色”を採取し、色素として[プロミネンス]に組み込む。

“色”のあるプロミネンスは搭乗者の“感情そのもの”心の色の強さ即ちこのANGELの強さだと、開発責任者から聞いている。

俺も乗れるのか?

冗談まじりに聞いた所、その研究者は二ノ宮の目をじろじろと見た後こう言い放った。

「まるで足りない」

余程高スペックなのだろうと勝手に納得したが、今考えを改めた。

「乗りたくもねえ」

他人の“感情”を吸い出して[プロミネンス]を無効化したのだ。

他人を心まで受け入れる。

「同じ人間として尊敬するよ」

二ノ宮はプロミネンスを引き抜かれ、力を失って墜ちていくであろうルシファーを受けとめるため機体を飛ばした。

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