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イヌ恋 ?

[129]  2008-07-05投稿
「む、無理だよ。俺、お金持ってないし、だいいち初対面の人同士がいきなり…。」

「私が全部やります!」

アカネはワン!と一回吠えた。

「せっかく生き長らえたんだから、アカネだってちゃんと生きる権利があります。」

「住田さん…。」

「茜でいいですよ。周助さん!」

「…本当にありがとう、茜ちゃん。でも気持ちだけで充分だよ。」

「そんな……。」

周助はアカネを抱き上げて、一礼すると公園から出て行った。
もう会えないかもしれない。

自分で言ったそんな一言が勝手に頭をよぎった。

だいたい両親に一度に他界され、家も失った若者が子犬を育てながら生活するには無理があると、茜には言いたいことが山ほどあったが、彼の後ろ姿には何も言葉をかけることが出来なかった。

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