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頭脳と頭脳(11)

[524]  未熟  2008-07-08投稿
携帯から発せられる覆面の声。
それをながしたまま歩く。
ムービーをとっていてよかった。
たとえ、変声機で声を変えていても、話し方などでわかるかもしれない。
少女が覆面のことをどのくらい知っているかは知らんが、追っているぐらいだ。
俺たちよりは知っているだろう。
一通り歩いたが、話しかけてくるやつはいない。
反応で判断しようにも、大抵のやつが怪訝そうな目で見てくる。
まあ、爆破の被害者たちの前で、変声機を使っている声をながしてるんだ。当然だな。
警戒しているのか?
それとも、警察官と話しているのか?
当たり前だが、警察官の近くではムービーは止めていた。
ならば、次だ。
俺は息を大きく吸い、
「天は我にあり!」
忌むべき台詞を大声で言った。
突然大声をだしたものだから、皆俺を見る。
異常者だと思われただろうか。
だが、これで少女も、俺が覆面と関係があることを確信しただろう。
この言葉はあの時は、手紙の最後に書いてあった。
意味などないだろう。
なら、これは覆面のキメ台詞のようなものと考えられる。
今回も俺を挑発するためとはいい、自分を判断させる材料に使ったのだから。
だったら、少女が知っていてもおかしくない。
まあ、警察官に怪しまれただろうがな。
だが、それでもいい。
警察官が近付いてくる。
助けてくれる。
「君、ちょっといいかな。」
警察官が俺に手を伸ばした。
きっと、大丈夫。
信じきっている俺の肩に手が触れた。
そのとき―――\r
「お兄ちゃん!」
一人の女が抱き付いてきた。
ほらね。
少女が助けてくれる。
「来てくれてたのね? 合言葉を聞くまでわからなかったわ。」
合言葉ね。
そうきたか。
のってやる。
「俺もお前が見つからなくて、困ってたんだよ。本当に合言葉があってよかった。」
喜びあう二人を見て、邪魔をしては悪いと思ったのだろう。
警察官は離れていった。
それを確認して
「あなたは、誰?」
女は素に戻り、話しかけてきた。
こいつが少女だろう。
「あなたは、誰ときいているの?」
強気な女だ。
それに、少女ってかんじじゃない。
だが、綺麗な顔をしている。
「私が助けるとよんで、大声であんなことを言ったわね?」
睨み付けてくる。
髪も長くて綺麗だ。

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